第七話 『交換日記』
こんにちは私の名前は山田夏美。中学1年生。
今私のクラスでは交換日記と言うのが男女の間で流行っている。
それも最初は2人か3人だったんだけど、なぜか今ではクラスメイト全員でやる事になっていた。
やり方は簡単、日記を書いた人は教室内の何処かに隠す。それでそれを見つけた人はその日に書く。
私達のクラスは全員で26人居るので一ヶ月に1、2回位だ。
これがやってて結構楽しい。実は私も結構、授業が始まるまで日記を探していたりする。
これはそんな交換日記がある日、突然と無くなってしまった所から始まるお話。
「ねえ夏美!!! 何か交換日記が無くなっちゃったみたいなの」
「ええ??? 隠したまま出てきてないだけじゃないの???」
この子は中江 千秋。私とは中学校で知り合ったはじめての友達。
小学校のときにはいじめられていたらしい。
けど私達の地区は中学が2つあるので苛めていた子達はほとんど違う中学に行ったらしい。
それより交換日記が無くなったって本当だろうか???
「どうすんのよ!? もしもそのまま先生に見つかったらまた怒られちゃうよ!!!」
「そう言えば先週見つかって怒られたばかりだっけ……皆で探すしか無いよね……」
そうして私達は皆で交換日記を探すことにした。
けれど不思議な事に一番最近日記を書いた男子が隠した場所にも交換日記は無かったのだ。
となると日記は誰かが持っていることになるのが普通なのだが誰も持っていないと言っている。
一体どういう事なのだろうか???
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それから数日後……。
私が朝、学校に来て教室に入ると皆が教室の前の教卓に集まっていた。
その輪の中に私は無理矢理入るとそこには一つのノートが置かれてあった。私は事情を知るために近くの男子に聞いてみた。
「ちょっと、何があったの???」
「ああ山田か……実は交換日記が返って来たんだけど……何かおかしいんだ……」
そこで私は気がついた。
教室の後ろの方で女子達が何かに怯えるような顔で中には泣いている者も居ることに。
そして私は視線を下ろして日記を覘いてみた。
なぜか赤い文字……???
違うこれは血文字だ。
『今日゛の夕飯はガレーェでじだ。。。。
どっでもおいじがっだよ (;;;゜ 血 。)
出席番号27番 道野 チィ』
何 だ こ れ は ? ? ?
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「悪戯にしたらちょっとやり過ぎかも……。
あれ??? 27番なんてあったっけ……それに道野チィなんて」
その通りだ。
このクラスは26人しか居ない。
つまりこのクラスに出席番号は26番までしか存在しないのだ、27番はありえない。
さらにこのクラスには道野 チィなんて人物は居ない。
じゃあこれは一体誰だ???
すると千秋が怯えた声で言う。
「……どうすんのよ……??? このまま日記続けるの???」
「当たり前でしょ!!! こんなたち悪い悪戯に構ってられるもんですか!!!」
声を出したのは学級委員長の足立 香奈枝。
そういうと皆の中心にあった交換日記を取り上げて自分の席に座った。
同時にチャイムが鳴って先生が入ってくると皆が自分の席に座った。
確かにこのクラスの皆が楽しんでいた物にあんな悪戯をするとは思えない……だとすれば誰なのだろう……???
私は後ろを振り返っているはずも無い27番目を想像したのだった。
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あれから数週間。
あの悪戯が続くことは無く。皆は安心して日記を書き続けていた。
そんなある日、またあの日記が無くなったのだ。
今度も皆で探したのだけど不思議な事に日記は無いのだ。
私は嫌な予感がした。ここで先生に言えばよかったのだが怒られるのが嫌な皆を意見は一致していた。
そして日記が無くなってから数日が経ったある日。
普段どおりに登校して来た私に教室の前で千秋が待っていた。
「夏美!!! 大変よ!!!」
「ちょっと、引っ張んないでよ」
あの時と同じ、教卓に皆が集まって後ろの方では女の子達が何かに怯えている。
まさか……。
そんな予感をしていた私は教卓に集まる皆を掻き分けてその中心を覘いた。
やはり――そこには無くなっていたノートがあったのだ。
私はギョッとした。
『 今日゛は十二日でずね
出席゛番号が十二番の人を殺じマズ (;;;゜ 血 。)
出席番号27番 道野 チィ』
こ ろ す ? ? ? ?
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殺す……???
「12番って……足立さんだよね……」
誰かが言った。
その足立さんは顔面蒼白と言うのだろうか。本当に怯えてきっていた。
こんなのがあるはずが無い、本当に殺すなんてありえない。
それなのに、彼女は……。
「ア…………いやぁ……コロサ……レル……」
「大丈夫だよ。誰かのたちの悪い悪戯だよ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
足立さんはまさに発狂したように教室から全力疾走で逃げていった。
そこで先生が教室に入ってきた。すると私達の中の一人が先生に全てを伝えた。
私達の交換日記。
突然と消えて27番目が現れた事。
そして殺人予告。
取り合えず誰がしたのか探す前に足立さんを探すことになった。
少なくともその間も私はずっと上の空だった。何だろうこの感じ……悪い予感がするというのか???
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足立さんは死んでいた。
カッターナイフで胸を一突きされて女子トイレの中で死んでいた。
その場は悲惨な状況だったらしい。現場を見ていない私はそれを直接は見ていないけど。
それから一週間は学校は休校。そして一年後には廃校になってしまった。
勿論その後のお話は無い。それ以上人が死ぬことも無かった。
しかしまだお話は続く。
あ の ノ ー ト は な ぜ か 今 で も 私 の 手 元 に あ る の だ 。
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それからまた数年。
私はもう25歳になって今はOLとして毎日バリバリ頑張っている。
勿論私もあの事件を完全に忘れてしまったとは言わない。
しかし人間の脳と言うのはもともと記憶を憶える事より記憶を忘れる事の方が長けている。
まあ要するにあまり詳しいことは覚えていない。
そしてあの時の中が良かった千秋は何かの縁なのかもしれない。私達は同じ会社で働いている。
あれから数日の間は千秋も余程ショックだったのだろうか、様子が変だったけど今では大丈夫のようだ。
確か足立さんと同じ学校だったらしい。
……あれ??? 私は何かを忘れているような……。
「どうしたの夏美??? 何か怖い顔してるよ???」
「え!? な……なんでもないよ!?」
真正面に居る夏美と目が合う、顔に出てしまっていたらしい。
うーん。思い出せない。
まあ過ぎた話だ今は仕事をしなきゃ!!!
ふとパソコンのキーボードを見る。
私は今までこの会社に入るまでパソコンはあまり使ったことが無かった。
おかげでパソコンの知識は全くと言っていいほど無い。
しかし今のこの時代。パソコンくらい使いこなせないと会社の就職は不利になってしまう。
だから毎日勉強くらいはしているんだけど……。
そう言えば前から思っていたんだけどキーボードの各キーの右下にあるひらがなって何なんだろう???
ああ、例えばローマ字の『A』の場所なら『ち』
『S』のキーなら『と』
『D』なら『し』
みたいな奴のことだよ。
後で夏美…………。
千秋の苗字は『中江』
道野チィ。
あっ……………………。
私 は 目 の 前 の 女 と 目 が 合 っ た 。