第Ⅴ話 『じゆうけんきゅう』
はちがつにじゅうにち 1ねん3くみ1ばん ○○
ぼくはことしのなつやすみに、ぼくのおじいちゃんがしんじゃいました。
すごくかなしかったです。
だからぼくはことしのなつやすみのじゆうけんきゅうは『死』について、かんがえようとおもいます。
そもそも、しぬとはこどものぼくには、よくわからないです。
『死とは、命がなくなること・なくなった状態、生命活動が止まること・止まった状態、あるいは滅ぶこと・滅んだ状態のこと』
ずかんからぬきだしました。むずかしい、かんじをかいたので、てがつかれました。
むずかしいので、こどものぼくにはよくわからないので、おとうさんにきいてみました。
おとうさんは
「○○は難しい事を聞くね。うーん……。
死ぬとは人間として機能しない事だよ。
だけど死んだとしてもその人を覚えてくれている人が居たら死んだ事にはならないんだよ。
死んでも直生き続けることが出来る。……ははは、まだ○○には早すぎたかな」
といいました。
どうやら、おじいちゃんはしんだけどいきているらしいです。
だけどぼくは
しんだのにいきているっておかしいとおもいます。
きょうぼくは、ともだちといっしょにこうえんであそんでいるときに、ねこがしんでいるのをみました。
なんでしんでいるのかしりたくて、ぼうでつついてみました。
うごきません。
なんどつついてもうごきませんでした。
ぼくは
「ああ、しんでるな」
とおもいました。
ぼくは、しをみることができた、きがしました。
だからぼくは、『しをもってかえって』たからばこにいれておきました。
あしたにどうなっているかたのしみです。
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はちがつじゅうさんにち
ぼくはたからばこに、いろんな『し』をあつめました。
なんだかどれもすごくきれいだなとおもいます。
まっくろな、からすのみひらいため。
しおれてしまった、ひまわり。
すいぶんをうしなって、うごくことをわすれたきんぎょ。
どれもすごくきれいです。どんなほうせきよりも、かがやいてみえます。
ぼくは、しがとてもうつくしいものだとわかりました。
だけどにんげんたちは、しはとてもわるいものだとかんがえています。
それがあたりまえ、それがじょーしきであるかのようにおもっています。
ぼくみたいに、しをかんがえるべきだとおもいます。
まずおかあさんに、はなしてみました。
僕「ねえねえおかあさん」
おかあさん「なあに???」
僕「これをみて、すごくきれいでしょ!?
このぐったりしためとか、うごくことをわすれたにくたいだとか、すごくきれいとおもうでしょ!?」
おかあさん「(ひめい)」
ぼくはおかあさんに、つれられてびょういんにいきました。
びょういんは、いつもぼくが、たいちょうをくずしたとき、いくところとはちがうばしょでした。
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はちがつじゅうろくにち
ぼくは、いきているのはきたないとおもいます。
いきているものは、あのたからばこのなかにいるものたちより、きたないです。
おじいちゃんはよく「にんげんはきたないせいぶつだ」とくちぐせのようにいっていました。
ぼくはどうしてにんげんがきたないのか、ききました。
おじいちゃん「人間達は自分の為ならどんな事でもやるんだ。私は知ってる。
裏切り、憎しみ、僻み……感情がある限り人間達はずっと汚れている……感情が無くなれば……感情が無くなれば……」
ぼく「じゃあどうしたらいいの???」
おじいちゃん「死ねばいいんだよ」
しねばいいらしい。
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おじいちゃん「死ねばどうなると思う???
もし生命としての期限が切れた時、そこはどんな世界が広がると思う???」
ぼく「???」
おじいちゃん「そこには何も広がらないし何も残らない。ただの虚無の空間だ」
ぼく「???」
おじいちゃん「感情さえも……解き放たれるんだ」
いったい、おじいちゃんがなにをいっているのか。
ぼくにはまったく、りかいできませんでした。
ただつぎのひ。おじいちゃんはてんじょうから、ぶらさがっていました。
ぼくはこのとき、はじめて「し」をみました。
それはいままでみた。どんなけしきよりも、すごくきれいだとおもいました。
おじいちゃんがいいたいことはわかりませんが、ぼくは
み ン ナ 死 ネ バ い イ と お も イマ シ た
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はちがつじゅうきゅうにち
きょうはあることにきがつきました。
いきているのは、きたない。
しんでいるのは、きれい。
ぼくはしんでいき、きれいになる。
そのしゅんかんがいったい、どういうものか、みてみたいです。
いきているねこさんを、つかまえようとおもいました。
だけど、あしがはやいし、すぐやねにのぼるのであきらめていえにかえりました。
――ぼくはおもいつきました。
はちがつにじゅうにち
ヒロシくんが、ゆくえふめいになったらしいです。
ヒロシくんのおかあさんがぼくに、なにかしらないかとききました。
ぼくはしりませんといいました。
うそをつきました。
ごめんね、ヒロシくん。
ゴ メ ん ネ 。 ヒ ろ シ く ン
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はちがつさんじゅういちにち
ぼくのたからばこは、おおきくなりました。
たからがふえて、ほんとうによかったです。
でもおかあさんや、おとうさんがいなくなってしまったので、ぼくはひとりになりました。
ひとりはこわいです。
だけど、かなしくありません。
おとうさんや、おかあさん。
ヒロシくんや、ヒロシくんのママ。
きんじょのおじさんや、ケンジくん。
ケンジくんのママやケンジくんのおねえさん。
みんなすごくきれいです。
いきていたときより、ずっとずっときれいです。
(したいのしゃしん)
せんせいも、このしゃしんをみて、きれいだとおもいますよね。
めとか、はなとか、ちとか、みみとか、うでとか、ちとか、つめとか、ちとか、はとか、ちとか、ちとか、ちとか、ちとか、ちとか。
すごくきれいですよね。
<かんそう>
このなつやすみは、とてもおもしろいことがわかって、すごくよかったです。
これからも、もっとしらべていきたいとおもいます。
はやくみんなたちとあって、おしゃべり“とか”したいです。
は や く あ い た い で す 。 せ ん せ い 。