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歪に素敵な短編集  作者: 啓鈴
歪な愚形の果実共
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第一話 『リモコン先生』


















 それに気がついたのは朝、学校を登校してきてから1時間目の授業が始まって少ししてから。


 1時間目の授業は数学だったので俺はうつ伏せになって寝ていた所を先生に殴り起こされた時のお話。






 しぶしぶ俺は起きて、自分の机の中から教科書を出そうとすると何だか黒い塊が見えた。













「何だこれ???」













 その塊は長方形でずっしりと重い箱だった。ボタンが沢山あって『電源』やら『録画』と書いてある。


 どうやらこれはリモコンらしい。どうやらというのも変だがなぜこれが机の中に入っていたのだろうか???



 何気なく『早送り』のボタンを押してみる。


 ――突然と世界が変わったように数学教師の板書するスピードが加速した。一体どういう事だろうか???













「誰も……気がついてないのか」












 周りを見るとどの生徒達も別に何か変わったという事も無かった。


 驚いた表情もしているのも恐らくは俺だけだ。そこで次に『再生』のボタンを押してみる。


 今度はやっぱり今までどおりの授業になった、このリモコンは一体どういう事だろう???




















 ■



















 2時間目、それは丁度世界史の時間だった。





 勿論あの後はリモコンを使って授業を一気に終わらせた。これがあれば随分と楽になるだろう。


 そんな事を考えながらもふとポケットに入れておいたリモコンを取り出した。


 そう言えば『録画』とはどういう事なのだろう???


 俺は『録画』してみる事にした。












「……何も起きない……」






「●●!!! ちゃんと授業を聞け!!!」











 怒られてしまった。

















 ・















 ・















 ・

















 その後も俺はリモコンを使って2時間目を終わらせて休み時間を取っていた。


 休み時間と言っても次の時間が体育なので着替えてから各自グラウンドに出ている。


 ふと『再生』のボタンが光っている事に気がついた、点滅しているといったほうが正確だろうか。


 気になって仕方が無いので『再生』のボタンを押してみた。




















「●●!! ちゃんと授業を聞け!!」




















 突然と教室のドアが開いて世界史の先生が入ってきた。


 なるほど、『録画』した状況を『再生』したんだ……。


 それにしても一体このリモコンは何なんだろう???


 そう思いながら体操服のポケットにリモコンを入れた。




















 ▲



















 ラジオ体操を終える時に体育の先生が出てきた。


 年齢は26歳位で両手にサッカーボールを持っていることから今日はサッカーらしい。とても楽しみだ。


 すると体育の先生が口を開いた。







「今日は外周1周した者から自由にサッカーやれ。俺は少し用事がある」







 生徒から歓声が上がる。……外周か、だるいな。


 そうだ!! こんなときに『先送り』したらどうだろう???


 俺はポケットからリモコンを取り出して『先送り』した。

















 ・
















 ・















 ・

















 俺はサッカーを五時間ほどした後に教室に戻ってきた。正直死にそうなほど疲れてしまった。


 4時間目と5時間目は『スロー再生』にして休息を取っていた。




















 ――6時間目。俺は目覚めて『早送り』しようとポケットの中を探った。

















 あれ??? ……無い???
















 そんなはずは無い。確かに俺はここにしまったはずなのに!!!


 制服の内ポケット、鞄の中、机の中。思い当たる節を全て探してみるもリモコンはどこにも無い。





















「何処だ……何処に行った……あれが無いと……」




















「●……●……誰…………ガ…………アル…………イ……て……」




















 先生が俺の服を掴んだ。何もかもがスロー再生。















 1秒が10分に感じるようにスロー。






















「    あ     れ     が     無     い     」






















 ●




















「ねぇねぇ知ってる!? 何か噂で聞いたんだけどね。リモコン先生って言うのがあるらしいよ!?」





「えーなにそれぇー???」





「何かぁ先生の周りの空間を早送りしたり、指定した先生を撒き戻ししたり出来るらしいよ」





「えーなんかうそくさーぃ」




















 リモコン先生。それは今日も何処かの街の片隅にポツンと捨てられているかのように。



 あるいは誰かに拾われるのをずっと待っているかのように。



 もしかすると貴方はもう既に持っているかもしれません。



 貴方の家にある数々のリモコンに紛れているかもしれません。



 もし無かったとしても又いつか――。




 おっと……電池切れでしたか……。




























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