AOI 第95話
熟睡中だな。TVの音は高いかなと思うけれど、起きた時、無音よりいいかなと思って消さなかった。弟のココアのカップのそばに、
(ココア作ったよ。飲んでねー。5時半のバスで帰るからね。気をつけて!)のメモパッド。
そろそろ、バスの時間だ。もう一度、リップの確認。弟に、とりあえず声をかける。
「行ってくるよ。汗かいたら、下着取り替えてね。風邪引くから。」
弟は、
「えっ、あぁ、わかった。」
目も開けずに答えている。私は、続けて、
「鍵は閉めて行くからね。」
弟にむかって、少し大きな声で、
「ありがとぅー。」
やっぱり、目は開かないけれど、にこっと笑っているような表情をしていた。首も少しあげて。
まだまだ眠たい声で、
「行ってらっしゃい。」
と、言ってくれた。かわいい奴だなぁ。こたつの中で、伸びをしたりしている、弟のまわりで、ドタバタとしている私。もう、バスの時間だ。さっきより、小さい声で、居間のドアを開けて、そして、
「行ってきまーす。」
と、こたつの弟の方を見ながら、いつもより静かにドアを閉めた。靴を履いて、玄関を開ける。眩しい。振り返って鍵をしめる。太陽の光に雪が反射して、眩しいのだ。家の中にいると、わからない眩しさだ。眩しさは、暖かいを持っている。日向はポカポカだ。この太陽のおかげで雪もとけるかな。となると、帰り道はぐしゃぐしゃだ。新しいオーバーオールに泥の跳ね返りは嫌だ。どうにか上手に歩かねば。バス停には、10人程並んでいた。並んでいる人をパッと見てみたけれど、知らない人はがりだった。目の前には、病院があるから、来ている人なのかも。バスがくる方向を見たら、バスの姿が見えた。バス位置情報のおかげで、待たずに乗車できた。バス停は日陰だからすごく寒くて寒くてね。バスに乗って、座席を見渡すと、2人掛けのイスのどちらかには、ほとんど座っていた。うーん、どうしよう、立っていると、座ってくださいとアナウスが入るので、同じくらいの女の子の横を見つけて座ることにした。女の子は、頭を下げていて寝ているようだった。私は、携帯を出して、のあちゃんに、
(おはよー。バスに乗ったよ。)
と、送信した。すぐに既読がついた。のあちゃん、早い。そして、
(おはー。私もむかってるよぉ。駅でねー。)
と、届いた。よしよし、のあちゃんと私は、遅刻はなさそうだな。駅までの道のりが、塾に行く時よりも、もっと楽しくなっていた。ただ、何を話ししたらいいんだというテーマが、ずうーっと、頭を重くしている。のあちゃんは翔太君がいるからいいけれど、私はどうしようかな。




