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幕間話 説明回

一気に6話投稿っ!


 誘拐未遂事件の翌日。宿屋の一室で相も変わらず筋トレに励む3人の姿があった。


「やーい仕事無しー」


「唐突な罵倒止めてくれますぅ? たまたま依頼が無かっただけだぜ穀潰し君」


「ハハハハハ、言うねぇガリ勉野郎」


「ガリもなにも3ヶ月前からお前より筋肉あったろデ……お前、腹引っ込んだか?」


「フハハ! 今更気づいたか。どうよ、この引き締まった肉体は!」


「引き締まったも何もマイナスが限りなくプラスに近づいただけだろうが、おめでとう」


「ありがとう」


 罵り合いながらも2人して顔を見合わせ作り笑顔を浮かべる。それを無表情ながら不思議そうに見ていたシクリィ師匠が俺達へ質問をする。


「……仲良いの?」


「「俺/オレ達、とっても仲良し!」」


「息ピッタリ。凄い」


「「だから互いに気兼ねなく罵倒しあうの!」」


「悪口は仲の良い証拠……?」


 幼い頃からずっと一緒だもの、嫌いなら13年も連んでいない。遠慮せず話し合えるのはある種の信用あってのものである、絶対に初対面の人相手にしちゃ駄目だぞ!

 まあ、それはさておき……筋トレにも何だか慣れてきた気がする。気持ち筋肉もついてきたと思うのは、回復魔法で無理やり治しているからか。よかった、ただ痛いだけの産廃魔法では無かったというわけだ。


「そうだ、魔法だよ」


「理由とか背景をすっ飛ばして結論から話すんじゃないよ」


「お前、昨日の夜に変な棒を自在に操ってただろ? あれってどうやってんのかなって」


「変な棒……ああ、なんちゃって如意金箍棒の事か?」


「なんて?」


「なんちゃって如意金箍棒」


 えーっと、名前とか特徴から察するに如意棒か?西遊記とかで孫悟空が使ってた……にしても なんちゃって って正式名称に入れる必要あるかね。


「原作の真似事だからなぁ。8トン近い重さも無ければ、触れただけで死ぬような作りには出来てないし、そもそも大して長く出来ん。正味マナ込めて強化した木の棒だぜ?」


「……突っ込みたいことは山積みだが、まずマナ込めて強化ってどういう──あーいや、その前にマナの説明を求む」


「マナってのは、身体中を巡る不思議エネルギーだ」


「不思議エネルギー」


「そう、不思議エネルギー」


 そうか、不思議エネルギーか……なるほど、完璧に理解した。

 無言で頷く俺を、 あ、こいつ理解してねぇな って顔で見つめてくる男が1人。それを訂正せねばと腕立て伏せの体勢から片腕を地面から離し、チヤへ鋭いツッコミを入れる。が、それをヒョイと避けてジト目で此方を睨み付けてきた。こやつ、やりおる。


「鍛練を疎かにしない」

「「アイッデェ!」」


 師匠が課した鉄の掟、仲間内で暴力沙汰は御法度。に反した行動を取った俺達に鉄拳制裁が下る。地面とキスをした後、顔を上げてチヤの方へ向ける。頭に出来た瘤を擦りつつ、互いに睨み合う……が、それは無表情ながらに圧を飛ばす師匠によって呆気なく撃沈した。

 再び筋トレを再開してチヤに話の続きをするよう視線を送れば、それに応じてマナの説明を再開した。


「マナはオレらが体内で生み出す謎エネルギーだそうだ。普段はそれを補助に回している」


「補助とな?」


「お前、昨日よりも随分筋トレが楽になったんじゃないか? それも補助のお陰だ、まー常時パワードスーツ来てると思えば良い。電気がマナって不思議エネルギーに変わっただけだ」


「なるほど……わかったぞ、非常時は補助から他の事に使うわけだな?」


「んー、まあ……そうだな。体内のマナを使用して意識的に身体能力を強化したり、それこそ魔法として体外に排出したり使用の仕方は様々だ。プラスアルファで言うなら、身体がマナの補助を行っているのには理由がある。これは身体持ち得るマナの保有許容上限を越えているからこそ使っているわけだ」


「ほゆーきょよーじょーげん……?」


「ワタシニポンゴワカリマセーンみたいな反応やめーや。まあアレだ、スマホって過剰充電は出来ないだろ? でも、折角作っちゃったもんを使わずにいるってのは勿体ない。だから余ったマナを補助に使っているわけだな」


 要は100%越えての充電は出来ないわけだ。成る程……と、ここで疑問がひとつ。


「溜め込む事って出来ないん?」


「一応可能だけど、あんまりにも溜め込みすぎると古いマナが新しいマナに悪影響を与えたり……最悪の場合、限界越えすぎて身体の中から逃げ場を求めて大変なことが起こる」


「大変なこと?」


「風船に空気入れすぎたみたいな」


「……グッロ」


「まー、それこそ無理矢理にでもマナを注がれなきゃ起きんがな。大体の物質にはマナの保有許容上限があることだけ覚えときゃ良い。話を戻して……マナを込めるってのは、上限を越えない程度に自身のマナを送り、送った物体の状態を変えること。要は硬くしたり、しなやかにしたりだな。そうしてみれば、ほれこの通り『伸びろ』」


 懸垂をしていたチヤが手を離して落下する最中、指先をクイッと動かせば、昨日見た如意棒が勢いよく床目掛けて伸びる。されど棒が床を突いても音はせず、片手で如意棒を持ったチヤが収縮する棒と共に床へ静かに降り立った。


「これはマナを込めて なんちゃって如意金箍棒 の状態を変化させているわけだ。変化させた時点でマナというエネルギーは消費されるので、状態を変化させたままでいるためには随時マナを送る必要があるってな感じだな」


「はへー、因みにマナを使いきったら?」


「補助に使われていた分のマナまで無くなるから、その分補助無しで動かなきゃいけなくなる……だから体感ダルくなるな。自然回復には個人差あれど、その人の状態……体調、精神、飲食だったりが影響するらしい。要するに健康でいればそんだけ回復も早いわけだ」


「なるほど……あ、そういえばさ。魔法の詠唱ってあった場合と無かった場合で変わったりすんの? ほら、お前如意棒を伸ばすときは『伸びろ』って毎回言ってるけどさ、エイリルさんとかは何も言わずに魔法使ってるだろ?」


「詠唱有りだと思った通りの魔法が発動するな、足りない威力が増したり、逆に余分なマナを消費しなかったり……無い場合ってのは、料理する時に大匙3杯とかを目分量で入れる感覚に近い。要は慣れてなきゃ無詠唱はリスクが高いんだよ」


「……ほーん」

「へー」


「師匠も知らなかったんスか……」


「うん。魔法使える相手は少ないし、そんな奴が居ても魔法を使わせなきゃ良いだけ。気になったこともなかった」


「……まあ、師匠なら使う前に仕留められるよな。そうなんだよなぁ」


「そういやシクリィ師匠って魔法使わないんですか? 使ってるとこ見たこと無──」

「必要ない」


「え、でも使った方が便「必要ない」アッハイ」


 有無を言わさぬ圧に折れ、武器の素振りに集中する。なんか、慣れたな。うん、2日目にして結構慣れてきた。もしかしたら俺には武や筋トレの才能があったのかもしれない……そう自惚れながら雑談をしていれば、あっという間に日が暮れた。回復魔法の痛みには未だ慣れぬものの、昨日と比べ格段に筋肉がついたような気がする。プラセボ効果も多少はあるだろうがね。






 そんなこんなで走り込みや筋トレなどの体力作りも終わり、昨日よりも余裕のある自分に自信がついてきた頃、エイリルさんが何処か萎びた様子で帰宅する。


「ありゃ、なんスかそんなしょぼくれた雰囲気醸し出しちゃって」


「ん、なにかあった?」


「あーいや……ギルド長に事情説明したら随分と言われてな。そうだ鉱簾、今度ギルド長が依頼受けに来いって言ってたぞ」


「ギルド長……?」


「……リル先、取りあえず冒険者ギルドについての説明が必要じゃないスかね」


「……それもそうか。んじゃ千冶、任せた」


「オレッスか」


「たのんますぜ先輩」


「先輩言うな気持ち悪い……冒険者ギルドってのは要するに何でも屋だな。困った人が依頼をギルドに持ち込み、報酬を設定する。オレら構成員で解決できそうな人が依頼を受けて適宜解決、報酬を受け取るって感じだ」


「おー、王道な設定のギルドだ」


「……王道か?」


「分かってねぇなぁ、ファンタジーモノのギルドってのはそーいうもんなのよ」


「そういうもんか」


「そういうもんだ!」


「コーレンって時々おかしい時がある」


「安心してください、時々じゃないっスから」


「救えないね」


「コフッ……」


 流石に今の一言は効いた、野郎共相手なら対して気にしないが、小学生程度の少女にこれを言われるとガラスのハートが壊れてしまいそうになる……


「バカなことやってないで飯の時間にすっぞ。ほらとっとと食え」


「「「おおー!」」」


 なんだかんだ、この生活にも慣れてくるな……とはいえ、家が恋しくない訳じゃない。俺はいつになったら帰れるんだろうか。




 零れ話──冒険者ギルド

 元来ギルドとは、商業者達が品質管理、価格統制、技術の伝承、組合員の権利保護などを目的として組織されているものだが、此方はナーロッパファンタジーでよくある冒険者ギルドである。

 勇者達が強大な帝国を作り上げた最中、勇者達の旅路を謳い様々な冒険・英雄譚が綴られ、吟われることとなった。勇者達が隔絶した文化を繋げ、世界を広げた結果、物語に連られて集落を出て行く旅人が増えた。それにより世界各地で人材不足と仕事の飽和が等の問題が発生。更に文化の違いによる問題や、宗教戦争、異言語問題などにより世界は混沌を極めていた……そこで、勇者はオタク知識から何でも屋としての冒険者ギルドを発足。組合員同士での知識や言語、技術を共有・伝達し合うことで事態の収拾をつけようとした。

 ギルドの構成員にはランクが存在し『A B C D E F G』の七段階に分かれている。このランクは、解決した依頼の数や人柄などから、その人がどれだけ信用できるかをギルドが判断して割り振られたものである。

 以上、本編で出るか分からない設定でした。

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