表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・豪腕女冒険料理人、料理という概念が存在しない異世界で胃袋無双する ~見た目は可憐なエルフ少女、でも腕っぷしはドワーフ級!?~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/16

第2章5節: 沼地の主と連携プレー

 古代穀物の収穫に夢中になっていた、その時だった。


 ザバァッ!!


 すぐ近くの沼の水面が、突如として大きく盛り上がった。水飛沫と共に現れたのは……巨大な蛇のような魔物だった!

 体長は10メートル以上ありそうだ。ぬらぬらと光る緑色の鱗に覆われ、頭部にはカエルのような大きな目玉が二つ、ギョロリとこちらを睨んでいる。口からは、鋭い牙が覗いていた。


「なっ……!?」


 あたしは咄嗟に身構えた。こいつが、この沼地の主か!


「ミラさん!! 危ない!!」


 岸辺からアルヴィンの悲鳴が聞こえる。


 巨大蛇は、鎌首をもたげ、シューッ! と威嚇の声を上げた。どうやら、あたしが縄張りを荒らした(穀物を採った)ことに怒っているらしい。


「ちっ、面倒なのが出てきやがった!」


 あたしはナイフを構える。相手はデカいが、やるしかない。沼の上では足場が悪すぎる。この丘の上で迎え撃つ!


 巨大蛇が、素早い動きで襲いかかってきた! 大きな口を開け、あたしに噛みつこうとする!

 あたしは間一髪でそれを躱す。だが、相手の巨体から繰り出される動きは重く、速い。掠っただけでも危険だ。


「くそっ、硬え!」


 ナイフで鱗を切りつけようとするが、硬くて刃が通らない! これじゃ分が悪すぎる!


「ミラさん! 私が援護します!」


 アルヴィンの声。見ると、彼は岸辺で杖を構え、何かの魔法を詠唱している。


「――風よ、刃となりて敵を穿て! ウィンド・カッター!」


 アルヴィンが叫ぶと、風の刃が数発、巨大蛇に向かって飛んでいった!

 シュパパパッ!

 風の刃は、蛇の硬い鱗に弾かれるかと思いきや、意外にもいくつかの鱗を剥がし、浅い傷をつけた!


「グシャァァァ!!」


 巨大蛇が苦痛の声を上げ、アルヴィンの方を睨む。注意が逸れた! 今だ!


「――燃えよ!」


 あたしは、練習中の火の魔法を、巨大蛇の顔面目掛けて放った! 制御はまだ完璧じゃない。だが、この際、威力重視だ!

 ボッ! と勢いよく噴き出した炎が、巨大蛇の目を焼く!


「ギャァァァァ!!」


 たまらず巨大蛇はのたうち回る。視界を奪われ、アルヴィンの風の刃とあたしの炎に混乱しているようだ。

 チャンス!

 あたしは懐に飛び込み、ナイフを逆手に持ち、蛇の弱点……おそらく、口の中か、目のあたりを狙う!


 しかし、巨大蛇も必死だ。やみくもに尻尾を振り回し、あたしを薙ぎ払おうとする!


「危ない!」


 尻尾が迫る! 避けきれない!

 そう思った瞬間。


「――土よ、壁となりて守れ! アース・ウォール!」


 アルヴィンの声と共に、あたしの目の前に、土の壁が瞬時に出現した!

 ドゴォン! と鈍い音を立てて、蛇の尻尾が土壁に激突する。壁は衝撃でひび割れたが、なんとか持ちこたえた。


「ナイスだ、アル!」

「今です、ミラさん!」


 あたしはアルヴィンが作ってくれた一瞬の隙を突き、蛇の顎の下、比較的鱗の薄そうな部分にナイフを突き立てた!


 グサリ!


 確かな手応え! ナイフは深く突き刺さり、緑色の体液が噴き出した。


「グ……ギ……ッ……!!」


 巨大蛇は最後の断末魔のような声を上げ、やがてぐったりと動きを止めた。


「……はぁ……はぁ……。やった……のか?」


 あたしは荒い息をつきながら、動かなくなった巨大蛇を見下ろした。アルヴィンも、魔力を使い果たしたのか、岸辺でへたり込んでいる。


「やりましたね、ミラさん!」

「ああ……お前のおかげだ、アル。助かった」


 初めての、まともな連携プレー。魔法使いと組むってのは、こういうことか。なかなか悪くない。


「それにしても、こいつ……」


 あたしは巨大蛇の死骸を見下ろした。緑色のぬめった体。正直、あまり食欲はそそられない。


「……食えるかな?」

「えっ!? これをですか!? さ、流石にそれは……」


 アルヴィンが顔を引き攣らせている。まあ、冗談だ。それよりも、今は戦利品だ。


「よし、アル! 手伝ってくれ! この穀物と、あと、塩水の確保だ!」


 あたしたちは協力して、古代穀物の穂をできる限り回収し、さらに沼の塩水を水筒(アルヴィンが持っていた)に満たした。巨大蛇の死骸は……放置することにした。そのうち、他の魔物か何かが片付けてくれるだろう。

 泥まみれになりながらも、あたしたちは大きな収穫物を手に、意気揚々と沼地を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ