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なんでも知ってる土佐辺くん。  作者: みやこ嬢
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第30話 実行委員会の会合

 テスト最終日を終えたクラスメイトたちの表情はどこか晴れやかだ。部活やクラブ活動も再開し、日常生活が戻ってきた。


 僕は初日ガタガタだったけど、昨日と今日のテストは手応えを感じた。先週の勉強会と図書館での自習も無駄ではなかったみたい。もっとも、答案用紙が返ってくるまで安心は出来ないけど。


安麻田(あまた)、実行委員会行くぞ」

「うん」


 放課後、各クラスの代表が集まっての文化祭実行委員会の会合が開かれた。全員顔を合わせるのは今日が初めてで、約二週間後に迫る将英学園文化祭の打ち合わせをするのだ。


 既に申請はしてあるが、各クラスの出し物の再確認と備品の使用希望、当日までの準備に場所が必要なら日時を指定して借りる手続きをせねばならない。


 他のクラスはテスト明けで油断していたのか、まだ具体的な話を決めていなかったようだ。うちのクラスは事前に土佐辺(とさべ)くんと色々話し合っておいたので申請する内容は決まっている。おかげで、事前準備のために家庭科室を数日貸し切る権利と当日使うホットプレートなどの備品を押さえることが出来た。


「先に話し合っておいて良かったね」

「ああ。三年生はともかく一、二年生は慣れてないからな。#予定通り__・__#人気の備品を幾つかキープ出来た」

「さすが」


 委員会での発言も任せっきりにしちゃったし、事前の話し合いも彼が仕切ってくれた。頼ってばかりで申し訳ない。


「実行委員って見回り当番があるんだよね」

「生徒会と先生たちだけじゃ人手が足んねーからな。まあ、担当区画と時間帯も大したことねーし、クラスのほうのシフトを調整すりゃ問題ない」


 校門に設置するゲートは毎年使うものだから倉庫に保管されている。共有スペースの飾り付けは生徒会の担当だ。文化祭当日に校内をパトロールする『見回り当番』は実行委員が持ち回りで担当するのだ。


 去年、一年生の時は初めての文化祭でワタワタしてて、クラスメイトに頼まれたことをやるだけだった。他の人が何をしているのかなんて全然知らなかったし、知ろうとも思わなかった。


「もしかして、一年生の時も実行委員だった?」


 あまりにも手際が良いから経験者かと思いきや「いや。今年初めてやる」という答えだった。僕と同じ初めてのくせに、なんで色々知ってるんだろう。


 委員会が終わり、参加者が次々と教室から出て行く姿を眺めていたら、土佐辺くんが急に席を立った。ガタッと大きな音がして、教室内にいた人たちがびっくりして振り返る。


「と、土佐辺くん?」

「……いや、何でもない」


 座り直す彼を見て、立ち止まっていた人たちは再び歩き始めた。


「君たち、ここもう閉めるから早く出てね」

「あっ、ハイ!いま出ます!」


 実行委員会の顧問の先生から促され、僕たちも席を立ち、廊下に出る。教室に戻ろうとしたけど、何故か土佐辺くんは逆方向に歩いて行こうとする。


「どこ行くの?」

「悪い安麻田。先に帰ってて」

「う、うん」


 そう言う彼の目は僕を見ていなくて、廊下の先を睨みつけていた。実行委員会を終えて、出て行く他のクラスの人たちを見送ったあたりから様子がおかしい。誰か知ってる人が居たんだろうか。


 しばらく教室で待っていたけど、土佐辺くんは戻ってこなかったので先に帰った。


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