第二十四話 ボスカルの獣討伐作戦
三人がウルスに着いて数日が経った。マートは人員を確保し、そして今日、ボスカルの獣を討伐する作戦を共有するに至る。
「——ボスカルの獣の特徴は以前伝えた通り、そして敵は魔獣だけでなく、その捕獲を目論む帝国もいる。そこでだ——」
マートは地図が貼ってある壁を掌で叩く。
「ボスカルの獣を討伐する部隊——第一部隊と、帝国の兵士を討伐する部隊——第二部隊の二手に分かれてもらう。まず列車に乗ってケーブに向かう」
ウルスから出ている線路を杖でなぞり、ケーブに着いたところで杖をそこで止める。
「そしたら第一部隊はケーブで待機し、第二部隊はメロートルに向かって帝国の兵士を叩く」
ケーブからメロートルへ向かう赤線を杖でなぞる。
「メロートルに着いたら信号弾を打ち上げ、それを受けて第一部隊は列車でボスカルの獣が出る地域へと向かう。第二部隊が帝国の兵士を止めているうちに第一部隊がボスカルの獣を討伐する——という流れだ」
そう言い、マートは杖を床に突く。
「第一部隊には沢山の武器、兵器を用意しているので、それを有効活用してくれ。そして第二部隊は帝国の兵士を討伐した時点で目標達成となるが、馬等を使って第一部隊に合流してもらっても構わない。質問があれば、出撃までに伝えてくれ。ひとまずはこれで解散だ」
集会が終わった後、三人は列車の中の椅子に座って待機していた。中には他にも沢山の人がおり、もう既に出発できるような状況である。
「き、緊張する……」
てっきりダスと一緒の部隊に編成されるのかと思っていたミーリィは、第二部隊に配属されたことで第一部隊に配属されたダスとは別々の部隊になってしまった。
「落ち着け、大丈夫だ。ファレオでやっていることをいつも通りやればいい。それから……ポン、大丈夫か? お前を送り届けないといけないから、正直、この戦いには参加させたくなかったが……」
実はポンもこの作戦に参加しており、ミーリィと同じく第二部隊に配属されている。ダスの言葉とは裏腹に、ポンは嫌がりもせず、不満げな表情もしていない。しかし、その表情や態度はどこかばつが悪い感じであった。
「あー……まあ、おれの魔術も結構役に立つだろうし。それに、お前らが死んじまったら、おれも実質死んだようなもんだろ」
「そうか……まあお前の魔術なら最悪一人でも生き残れるだろうけど、ミーリィ、ちゃんと守ってくれよ」
「了解です!」
そう話していると、マートが中に入ってきた。彼は列車の中の人を見渡し、そして宣言する。
「皆、準備はいいか——これより、ボスカルの獣討伐作戦を開始する! 皆の勝利を心から願っている!」
そうして列車は動き出し、作戦が始まった。