ラーメン
三題噺もどき―にひゃくよんじゅうよん。
外に出ると、菜の花が咲いていた。
ちょっとした空き地があるのだが、そこに。
もうそれは、大量に。一面に。
黄色の、可愛らしい花を咲かせていた。
「……」
ここまで来ると、目に痛くなりそうだ。
でも、今度時間がある時にでも写真撮りたいな……。
今日はちょっと、無理だけど。
「……」
時刻は正午を回った。
実は、昨日の夜から仕事詰めで。
在宅の仕事なので、休むタイミングなんて、自分で作ればいいのだけど。
昨日は、ものすごく調子が乗ったので、色々と進めていたのだ。
部屋が寒くて、布団に潜りながら仕事していた。
よく、そんな状態で仕事してたな……。
「……」
この歳になって、徹夜というのが出来なくなりつつある。
布団の中にいたとはいえ、寝ては無いし。
だから、ものすごく。ねむい。
が。
「……」
それよりも、腹が減ったのだ。
何か、もう。
そりゃ、ガッツリと食べたいところなのだ。
こういう時は、あっさりしたお茶漬けとかがいいのだろうけど。
もう、気分は。
ラーメンだ。
「……」
というわけで。
お気に入りのラーメン屋さんに車を走らせる。
馴染みと言うほど、そんな頻繁に行くことはないのだが。
突然、ラーメン食べたくなった時は、大抵同じ場所にいく。
「……」
近いし。
早いし。
何より。
美味い。
「いらっしゃいませ〜」
あっという間に到着。
平日とはいえ、混んでいるようだ。
夏でもないのに、扇風機が置かれている。
回ってはいないが、夏場からずっとあるよな、あの扇風機。
片付けるタイミング見失ったみたいな。
「……」
ま、あまり関係ないことを気にしても何もならないので。
さっさと券売機に向かう。
醤油、とんこつ、みそ、半チャーハン、ご飯、煮玉子…などなど。
さて、何にしよう……。
「……」
味噌だな。
今日は、味噌で。
豚骨は、少々苦手なので、あまり食べない。
醤油か味噌。
ん〜あと、餃子。
「……」
2枚の食券を手にし、どこに座ろうかと見渡す。
「こちらへどうぞ〜」
「あ、ありがとうございます」
「食券お預かり致しますね〜」
「お願いします」
カウンター席に案内された。
まだ、アクリル板は立っている。
もう自由になったとはいえ、個人的にはありがたい。
ラーメンって、どうしてもすするからな。
跳ねるし。
「……」
端に置かれたコップを手に取り、ピッチャーから中に注ぐ。
多分、麦茶か何か。
あんまり気にしないから分からない。
「……」
「……」
「……」
「……」
「お待たせしました〜」
「…!」
きたきた。
「味噌ラーメンと、餃子ですね〜」
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ〜」
目の前におかれたどんぶり。
美味そうな湯気が、もうもうとしている。
大きめのチャーシューに、ネギ、もやし、キャベツなど。
麺はしっかり太めの、味噌ラーメン。
「……」
レンゲにすくったスープ。
箸で持ち上げる麺。
香ばしい味のする焼きチャーシュー。
シャキシャキと、食感の楽しい野菜。
「……」
黙々と。
1人静かに食べ進めていく。
途中で挟む餃子。
ニラ多めの、野菜多め餃子。
じわりと広がる、肉の旨みも相まって。
「……」
止めることなくすすり。
咀嚼し、飲み込んでいく。
最後に、コップに残った茶を飲み干し。
「…っふー」
しまった、一気食いしてしまった。
太るから良くないのに…。
気にしたことは無いが。
「ご馳走様でした」
軽く手を合わせ、ぽそ、と呟く。
今日も美味しいラーメンありがとう。
お題:扇風機・麺・布団