表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート5月~

ボールペン

作者: たかさば

ハイハイ!いらっしゃい、いらっしゃい!


物語を書いてみたい人いませんか!

物語を書きたい人はいませんか!


本日ご紹介するこのボールペン!

なんと文豪の愛用したボールペンでございます!!


こちらのボールペンで、100の物語が綴られました!

湧いて出るのは摩訶不思議な物語!


毎日毎日、物語を綴った実績のあるボールペンでございます!

書きたいと願うのに、ペンがぜんぜんすすまない方にぴったりのお品でございます!


いかがですか!いかがですか!

早い者勝ちですよ!!


「いただきましょう。」


ありがとうございます!

それではこちらをお渡しいたします。


良い物語が書けるといいですね!

期待していますよ、がんばってください!




僕は先日、不思議な店で、不思議なボールペンを買った。


何でも、物語を書きたいと願う人にぴったりの品らしい。

僕は作家志望なんだけど、イマイチ語彙力に自信がなくて、うまく物語を完結させることができず、途方にくれていた。


もしかしたら、このボールペンが、僕に何か、スランプを打破する何かを与えてくれるかもしれない、そう思って買った。


ボールペンを握り、文字を書き出す。

何を書こうか。


…!!!

ボールペンが、文字を綴りだす。


…………。



「なんだ!!これは!!!!」



正統派純文学を志す僕が書いたとは思えないような、下品な言葉と、恐ろしく低レベルで醜い文章運び。

稚拙な表現に、情緒の欠片も無いくせに、遠慮のない感情をただぶつける、作法を知らない恥知らずな物語。



僕はおぞましさのあまり、ボールペンを叩き折って、ゴミ箱にすら入れたくなくて、窓の外に放り出した。



「手、手を洗わねば!!こんなもの触って、僕の手が穢れてしまう!!!」



皮がめくれてひりひりするまで、僕は手を洗った。


新しい鉛筆を一本下ろして、血をにじませながら、自分の物語を綴った。





僕は初めて、自分の物語を完結させることができた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もはやそういう用途だったとしか思えない笑 いや、意外に文豪って下品な話書いてたりしない…?(失礼)
[良い点] なるほど。 うまいオチですね。 [一言] 自分が書きたいものを代わりにうまく買いてくれるボールペンならね。まぁ、みんな欲しいですよね。でも確かに、何かしらいらないことを書き書きしていると、…
[良い点] なんという呪いのボールペンw でも良かったですね [一言] なんとなくわかりますこういうの。うーn、起爆剤っぽい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ