No7
「早く起きてよ。」
「またここに来るとは思ってなかった」
全てが順調だった。仲間ができると思った。それなのに、邪魔をしているだの、あちら側などと訳のわからないことを言われて殺された。こんなの人間不信になっちまうぞ。
「どうしたの?落ち込んで」
「仲間だと思っていたのに意味もわからない理由で殺されたよ」
「そっか。あの二人は君を敵と認識したんだね」
「分かってたのかよ」
「どうなるかは分からなかったよ。どういう結果でも死ぬことは知っていたよ!」
どのみち仲間になってても何らかの理由で殺されてしまうのか。本当なら皆と笑って、ゲームをクリアしたい。もしかしたら、そんな考えは甘いのかもしれないな。
「なあ、このゲームを終わらせる方法は、転生者を一人残すか。神を殺せばいいんだよな?」
「そうだよ。殺せるならね」
「だったら、お前をこの場で殺すか・・。」
「そうか。なら・・」
「人間よ序列二位の運命の神グレティに喧嘩を売るとはいい度胸じゃの。しかし妾はアンシャルですら倒せるかもしれぬほど最強じゃが、覚悟はできているのか」
いつものお話大好きなグレティでは素人でも分かるくらいの殺気を解き放ち今すぐ殺してやると言っているように思えてくる。今戦うのはお互い駄目だ。
「グレティ悪い。戦う気はないから元の姿に戻ってくれ」
「承知した」
戦闘の意思がないことを伝えると、元の姿に戻った。神は2つの姿を持っているとは思いもしなかった。きっと他の神だって・・・。今は余計なことを考えるのはやめておこう。
「それでどう?僕と戦う勇気は出た?」
「今は無理だ」
「今はね今は。面白いね。一階は死んでみたいから早く僕を殺してね」
「最後に聞きたいことがあるんだがいいか?」
「時間だね。教えられないや。バイバイ」
まだ何も聞いてないのに、今元の世界に戻されてもまた同じことを繰り返すだけだ。もう少し、もう少しだけヒントがほしいと思っていたが、白い光は待ってくれなかった。
こうして12月1日3度目の朝を迎えた。
「雨月、早く起きなさい」
駄目だ。もう何もしたくない。どうせ何をしても死ぬならここに寝て誰かに殺されたほうがいい。それに、考える力がもうない・・。
「雨月、早く起きなさいよ」
『固有能力創造神、世界を滅亡させよ』
今の俺では、このデスゲームをクリアできない。すまない・・・。俺はもう一度グレティに会いにいくために、世界を滅亡させた。
「秋風様、おはようございます」
「お前は誰だ?」
いつもならグレティの部屋へ飛ばされるはずなのに、今回は美しい女性の元へ飛ばされた。
「はじめまして私は、審判の神フロラと申します」
「そうか」
「世界を滅亡させてと聞いたので、こちらへ送り込んでもらいました」
審判の神か。きっと無闇に滅亡させ人類の命を奪ったことでも罰するためにここに呼んだのかもしれないな。
「秋風様貴方の力で世界を壊してしまっては、何も意味をなしません」
「笑わせるな。お前ら神がこんなゲーム作らなきゃ何も起きなかったんだぞ」
「私達神が考えたゲームですか?貴方は本当に覚えていないのですね」
「どういうことだ?」
「それはで・・す・・」
「フロラ、おしゃべりがすぎるじゃないかな」
「グレ・・・ティ・・」
九尾の状態でグレティが現れ、フロラを体ごとばらばらにした。次第にフロラは消滅し、いつものグレティに戻った。
「ねえ。秋風なんか思い出した?」
「いや?何も」
「良かった。殺さないですんだよ」
何か思い出したら殺されていたのか?思い出して困ることなんかあるのか。それにフロラは神が作ったゲームではないという素振りを見せていたが、じゃあ誰が作ったんだ?グレティに聞きたいところだけど、余計なことを聞くと殺されてしまいそうだから、違う奴に聞いてみるか。
「秋風よ。時間じゃ、それではまた会おうの」
「おい、待てヒントをくれ」
「今までと違うことをしてみれば?それじゃね!ばーいばーい」
本当に自分勝手な神様だよ。フロラの言っていることや、グレティも少しヒントをくれたので、4度目は少しガムシャラにやってみるか。
白い光に包まれ、目を開けると無事4度目の朝を迎えた。
自分の同じ体験をしたら、同じことをするかもしれません。
次回4回目の朝を迎えます。
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