No16 そして日常になる
母さんは戻ってこない。そしてここで死ぬと生き返ることが出来ないという現実を受け止められない。そりゃ今まで復活するっていうのはチートだったかもしれないが、それがなくてはクリアできないのもあったじゃないか。
「どう?少しだけ悲しい?」
「どう?このゲームの作者に怒りは覚えない?」
追放された神様は、人間界で一緒に生活できて、少し楽しそうだった。神の間とかいう閉鎖空間に居続けることが仕事とはいえ、ストレスが溜まるのだろう。それより、母さんというものを亡くして12月3日進んだとして、そこからどうやってクリアまでつなげればいいのだろうか?そもそもここで母さんが死ぬ?というか消えるのが前提で作られているのか?
「ねえ!少しは考え事ばかりしないで、お話しようよ!」
「悪い。母さんがいなくなったことによって、このゲームがクリアできるかということの答えがどうしても見つからなくてな」
「考えすぎると過労で倒れちゃうよ」
「お前は答えを知っているなら、教えてくれよ」
「さぁーね」
どうみてもこの態度は知っているやつの態度だ。そもそも何でも知っている神様が知らないはずないか。遊ばれていることに気づき、少し自分がアホだったと思った。
「でも、流石に少し可哀想だから、質問してあげるね。もし、僕と君が死ぬことによって世界を変えることができるならその時は死ぬかい?」
「当然だ」
「そっか。じゃあその時は僕もしっかり呼んでね」
何の質問だ?こいつ神から追放されて頭がおかしくなったのか?それとも一緒に自殺したいくらい人生に疲れてしまったのか?長年神をやっているやつの考えはよくわからないが、今は話を深く掘るのはやめておこう。
「そういえば、言い忘れたけど、今8時だよ」
「そういう重要なことはもっと早く教えてくれええ」
遅刻する。桜木先生は短気だから、今日遅刻すれば確実に指導室直行だ。そして、また刺されたりなんかしたら溜まったもんじゃない。急げ急いで学校へ向かわなくわ。一刻も早く準備を終えなくてはと焦りながら準備を終わらせた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
急ぎ学校へ向かう時計の時刻は8時15分に差し掛かろうとしていた。
「このゲームを終わらせたいなら、僕と君が消えなくちゃね」
「そうだな。今の君はまだまだ気づかないみたいだね」
「そりゃ、俺だって12月5日にようやく気づいたしな」
「そっか。これからもっと楽しくなりそうだね」
最後の会話もそのうち分かると思います。
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