No11.12月2日は無情にも始まる
「雨月、朝よ」
素晴らしい朝、外は晴れ今日も母さんの声が聞こえてきた。12月2日午前6時30分、5度の12月1日を乗り越えることができた。
「雨月、早く起きてきなさい」
よし、起きるか!
『ステータスが更新されました。称号創造神』
固有能力がそのまま、称号になるってなんかダサい。それより、称号の意味他の転生者に聞いてみないとな。
「母さんおはよう!」
「あら、いつもより5分早く起きてきたのね」
そりゃ12月2日を迎えたくて頑張ったんだから、当然だろ。母さんは12月1日を1度しか迎えていないかもしれないけど、俺は5度も迎えたんだからさ・・。
「そうだ、雨月今日は夜ご飯自分で何か買ってきて頂戴」
「母さんでかけるの?」
「用事で少し出てきます」
隠し事があるのか?母さんの様子がいつもより少しだけ暗い。嫌なことなのか?それとも・・・。考えたくもない。
いろいろ考えたが、答えは見つからなかった。そして、時計を見ると午前7時50分。このままだと遅刻してしまう。急ぎ学校へ向かう。
「秋風冬花、時間だ」
「来るのが早かったね。学校はどうだった?」
ギリギリセーフ、全力疾走なんていつぶりだ。
「よし、お前ら出席を取るぞ」
出席番号一番から次々に出席は取られていく。次は俺の番だが、名前は呼ばれなかった。
「先生、俺抜かしてますよ」
「次の授業に遅れないように早めの行動を!それじゃ解散」
「桜木先生!!!!」
「・・・」
桜木先生は無視をし、そのまま教室から出ていった。これは集団イジメというやつか?クラスメイトにも声は届いてない。こんな状況じゃ授業を受ける余裕もなく、自分を認知してくれる人を探すことにした。
「なんでだよ。どいつもこいつも無視をしやがって、声が聞こえていないとか不幸しか訪れないのかよ」
「あら、秋風君。一人で叫んでどうしたのかしら?」
「お前には俺が見えているのか?」
「何当たり前なこと聞いてるのかしら?気持ち悪い」
花峰には声が聞こえることが当然だと?いくら大声をあげても、声が届かなかったのに、こいつには届くなんてありえないだろ。しかし、演技をしているようにも見えない。敵同士とはいえ今は頼るしかないな。とりあえず、今の現状をありのまま説明した。
「そういうことだったのね。だから大声なんてあげて存在を認知してもらおうとしてたと」
「何でこうなったかわかるか?」
「知らないわよ。貴方がまた何かしたからこうなったのでしょう」
俺が何をした?いつもどおりに起きて母さんと話をして、そのまま家を出た。明らかに何も起きるような状況じゃないだろ。あーあわからん。こうなれば、グレティに聞くしかないか。
「なあ、花峰、頼みがある」
「何かしら?」
「俺を殺してくれ」
「分かったわ」
え?躊躇なしに心臓をえぐられた。この女マジで怖い。でも、これでグレティに会える。ありがとう花峰・・。
「いらっしゃい!一日ぶりだね」
「そうだな」
「自ら殺されるなんて、そういうの好きなの?」
「そんなはずあるか。緊急事態なんだよ」
「花峰遥以外の人間から認知されなくなった問題のことかい?」
何故知ってる?いや神なのだから当然か。もうこんな下らない考え方をしてはいけない。
「それで、何が起きているか。聞きに来た」
「今僕が答えられることはないかな。一つ言えるのは今回は完全な解決は出来ないと思うよ」
「どういうことだ?」
「犠牲が出るってことさ。誰とは言えないけどその人のことを秋風自身が殺すと思うよ」
「・・・・」
犠牲か。12月1日では誰も死なずにハッピーエンドになったはずだったのに、今回はそうはいかないとでもいうのか?そもそも、誰を殺さないといけないんだ?
「また、暗い顔した〰!秋風とってはとても苦痛だと思うけど、その選択を選ばないと、皆がいなくなってしまう。だから君はそれを選ぶと思うよ」
「だから何が起きるのかくらい教えろよ」
「だーめ!教えられないよ。そろそろ時間だね。またすぐ来るだろうし、バイバイ」
「まてまってまってくれ」
白い光に体が包まれた。そして目が覚めるとベットの中にいた。
「秋風もこんなゲームを作り上げるなんて相当な馬鹿だよね。それにさ、自分の母親を殺さないと、世界が滅亡しちゃうなんて思ってないだろうしね。ああ!今からとても楽しみだよ」
秋風、秋風!?秋風・・・。
でも気をつけて、僕は君で君は僕なんだからさ・・・・・・。
ブックマーク登録と評価をよろしくおねがいします