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やっぱり知り合いか

「沙耶、俺ってどんな奴だった?」

「急に深刻そうな顔をされてどうかしましたか?」

「あ、うん。まぁ色々とあって…………」


 夜のリビング机を挟んで俺と沙耶は食後のお茶をすすりながら話していた。両親は単身赴任であまり家には帰ってこない。故に一戸建ての家は基本、俺と沙耶しかいない。


「お兄ちゃんは…………不思議な人でした」

「不思議?」

「はい。勉強だけしか頭に無いと思っていたら案外周りのことも気にする。自分のことよりも他人のことを気にしてしまうような人間です」


 ん?これだけ聞くといい人のような…………


「でも物事をハッキリと決めないあたりは沢山の人をイラつかせてたかもしれませんね」

「あ、はい」


 前言撤回!ヘタレじゃねーかよ!!


 でも結局、俺の人間性が分かったところでラブレターの差出人が分かるわけじゃないんだけどな。


「で、お兄ちゃん」

「は、はい?」

「沙耶に何を隠しているんですか?」

「え?えっと…………何のことでしょうか」

「バレバレですよ。お兄ちゃん、沙耶に何か隠し事してますよね?」


 す、鋭い…………


「あ、まぁ」

「お兄ちゃん」

「はい。話します」


 流石に三回目は無さそうだな…………目が笑ってない。

 こうして俺はなるべく細かくラブレターをもらった経緯について話した。その過程で宮本璃々という人間についても。


「ラブレターは気になりますけど、その宮本璃々さんはお兄ちゃんの幼馴染ですよ?沙耶も良く遊びましたし覚えてます」

「そ、そうなの?」

「はい。沙耶にとってはお姉さんみたいな存在ですね。そういえば一度、お兄ちゃんが寝てる時にお見舞いのも来てくれましたよ?」


 え?お見舞いに?めっちゃいい奴じゃん。


「お礼ぐらいしても良いんじゃないですか?記憶喪失でも礼儀は礼儀ですし」

「そうだな…………ありがとう、沙耶」

「いえ!私は大したことはしていませんよ。それよりもラブレターの方はどうするんですか?」

「そ、それは…………まぁ一応返事もあるし探そうと思う」

「そうですね。それがいいと沙耶も思います。きっとお兄ちゃんの返事を聞きたいでしょうし」


 俺はふとラブレターの差出人がどんな人かを創造した。

 仮に見つけたとして俺はどう返事をするんだ?

 きっと差出人も記憶がある頃の俺のことが…………その、好きだったわけだし、今の俺から返事を聞いてもな…………


 結局どうすればいいんだろうな、俺って。

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