恐らく知り合いだったツインテール
『好きです。付き合ってください』
ま、マジか…………
この文面が描かれている紙はノートの切れ端。そして大分しわくちゃで折り目が濃い…………つまり、本当に俺宛のラブレターであるのだとすれば4か月前のものと考えるのが妥当なわけだけど…………
いや、可能性としては俺が職員室に行っている間という線もあるのか?
俺の頭では情報の処理が追い付いていなかった。
それにしても…………そんなことってある!?
いや、少なくとも俺って友達極端に少ない人間だよね?そんな人間にラブレターなんて書くか?普通。
あれか?これって一種の嫌がらせか?
友達がいない=いじめという解釈は間違ってる?
「あ~分からん!!」
俺は無意識に立ち上がり声を上げていた。
「富田!!うるさい!!」
そして怒られた。
「す、すいません…………」
ーーーー
時と場所は進み現在は昼休憩の時間、屋上だ。
結局俺は午前の授業は全然集中できなかった…………
いやそりゃそうでしょ?流石に自意識過剰すぎるとも思ったけど…………
「はぁ…………」
「何よ、そのため息は」
?
「あの~どちら様ですか?」
「あんた、本当に記憶喪失なのね」
いや、ホントに誰?
小柄な黒髪ツインテールの少女…………うん、誰?
「あの、本当にどちら様ですか?」
「宮本璃々」
「はぁ、宮本さん」
「!?」
すると宮本さんは驚いた表情で座り込む俺の顔を覗き込む。
「あんた…………記憶喪失…………いや、何でもないわ」
「あの…知り合いだったんですか?俺と」
「え?あ~まぁね。ある意味知り合いよりも近しかったかも…………」
ん?何その態度。
「えっと…………それはどういった関係で?」
「そ、そ、そそれは…………」
顔が真っ赤だ。
これってもしかして…………ラブレターの差出人はこの宮本さん?なわけあるか!
流石に出会ってすぐの人間を疑うのはどうかしてるよな…………
俺はとりあえず落ち着くために深呼吸をした。
「なんでもいいでしょ!!取り合えず私と賢太…………あんたとは知り合いだったわ!もういいわ!」
というか俺よりも取り乱してたのは宮本さんだった。
「え?いや、もうちょっと詳しくは無し聞かせてくれよ」
「ダメ!!もういいでしょ!!私行くから」
そう言って宮本さんは小走りで、少し怒り気味に屋上から姿を消していった。
「何なんだ?これって生殺しだよな?」
気になることが増えていく一方…………
やっぱり俺ってラブレターの差出人を探すべきなのか?