変わった環境
翌日、俺は学校で少し違う生活を送っていた。
「富田、ちょっと勉強教えてくれね?」
なんとクラスの男子に話しかけられたのだ。
いや、今までは大抵ボッチか生徒会だからクラスの奴、ましてや男子と話すなんて…………
まぁ、一週間後は期末テストだから気持ちは分かるけど。
そんなことを考えていると名前もまだ覚えていない男子はノートを開き問題を指差した。
「この問題なんだけど…………」
「あ~これな」
内容は数学、基本的な問題の中に少し応用が含まれた厄介な問題。
「ここは普通に展開してだな、あとは教科書に書かれてるもう一つの公式を使えば…………」
「なるほどな!!ありがと富田」
「お、おう…………」
しかし今日は特別な日だったのだろうか、勉強の相談はそれだけじゃ収まらなかった。
「私も教えてほしいんだけど」
「俺も!」
etc…………
ーーーーー
「ありがとう富田くん!」
「あ~どういたしまして~」
もはや体力の限界だ…………らしくないことはするもんじゃない。
「それよりも富田君って変わったよね~」
「え?」
「ああ、変わったよな。前よりも、なんていうか…………接しやすくなった。それに冗談もいって意外に面白い奴なんだな!」
「そうそう!!生徒会に入ったのも良かったのかも」
「良かった?」
「うん、だって生徒会ってつい最近まで少しピリピリしてたから。でも最近はそんなことなくなったていうか」
そうなのか?あの生徒会がピリピリ?まぁ璃々と先輩はぶつけたらちょっとヤバそうだけど。
「あのさ…………生徒会もだけど、俺ってどんな奴だった?」
するとまだ名前も知らない、というか覚えてない男子と女子は顔を見合わせ、
「接しにくかった」
「うん。勉強一筋って感じ」
あ、そう。やっぱり俺って孤高の存在だったわけね…………
「それじゃあ私行くね」
「じゃあ俺も!また教えてくれよな!!」
「お、おう…………ほどほどに頼む」
こうして俺はクラスの面々から解放された。
でもまぁ少し気分は良かったな…………
「あんたってそんなにクラスで馴染めてたっけ?」
背後から掛けられた声。もう何度も聞いたせいかその声の主はすんなりと分かった。
「璃々か…………まぁ正直なこと言うと俺もビビッてる」
「どうせテスト期間中だけいいように使われてるんじゃないの?」
「ちょっとその言い方ひどくない?俺ってそんなに孤高の存在!?」
突如現れては盛大に俺の心に大きな刃物を突き立ててくる璃々はどこかすがすがしい表情をしていた。もしやコイツってドS?
「ところで璃々。生徒会もテスト期間中は休みなのに何か用か?」
「へ?あ、その…………勉強を…………」
「いや、お前もかい!!」