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デートと尾行と①

 週末がやってきた。


 俺は今日、何故か後輩とデートすることになっている。

 まぁ自分なりにデートに関しては予習してきた。そして待ち合わせの駅には10分前に着くという徹底ぶり…………我ながらいいと思うのだが…………


 何故か10分前にも関わらず集合の駅には林さんの姿があった。


「あ、センパ~イ!」


 ダメダメじゃね~かよ!!


「センパイ?」

「あ、いや何にも」


 今日の林さんは落ち着いたミニスカート姿。少し幼さは感じるけど、綺麗よりの可愛いって感じだ。


「センパイ、どうですか?」


 そういうと林さんは俺の前でくるりと一回転。


「か、可愛いよ」

「えへへ~」


 うん、マジで可愛い。


「じゃあ行きましょう!」

「お、おう」


 互いに隣同士で歩く距離がやたらと近いのはデートでは当然のことなのだろうか。経験のない俺にとってはちょっとむず痒い気がする。


「センパイ、緊張してます?」

「ま、まぁ多少」

「そうですか、でも今日は楽しみましょう!緊張なんてしてても楽しくありませんよ!!」


 そういって林さんは俺の腕に抱き着いてきた。

 まぁ言うまでもなく、俺の緊張は変なベクトルへと進み始めたのだった。




 ーーーーー



 同時刻、駅から少し離れたカフェ。


「お兄ちゃんったら、ニヤニヤしちゃって」

「賢太の奴…………」


 そこには沙耶と璃々の姿があった。これは完全なる尾行である。


「璃々さん、お久しぶりですね」

「そうね、賢太が事故に会って…………お見舞いの日以来ね」

「はい。それで璃々さんは今日はどうしてここに?」

「え?あ、それは、えっと…………今日は()()()()ここのカフェに来たかったのよ!!それで沙耶ちゃんは?」

「え?私は尾行です!お兄ちゃんの」

「か、隠さないんだ………」


 二人はカウンター席で互いの顔を見ることなくずっと先にいる二人の男女を眺めていた。

 お互いマスクにサングラス、ベレー帽と完全不審者であるが、今の二人には周りを気にする余裕はない。


「あ、お兄ちゃんが行きます!!」

「え?嘘!!」

「…………」

「…………」


 お互いが顔を見合わせる。


「璃々さん…………」

「な、何よ!!」


 この瞬間、沙耶は悟った。『璃々さんも尾行なんですね』と。

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