3 朝の日課
思い付くまま書いてるので、よくわからないことに(^_^;)
「ふぁ・・・」
早朝、日が昇りはじめたばかりの頃に目を覚ます。ふかふかのベッドで寝れたことで睡眠時間は十分。今日から何をすればいいのかわからなかったので、とりあえずいつもの時間に起きて着替えるけど、どの服を着ればいいのかわからず、結局一番シンプルなものを選んでしまった。
そっと、部屋から出て外に向かう。表の扉を開けると衛兵の騎士さんが驚いたようにこちらを見て聞いた。
「ラルス様。こんな時間にいかがなさいましたか」
「走り込みをしようと思ったのですが・・・まずいですか?」
「・・・すぐに、確認して参ります」
「お手数おかけします」
しばらくその場で待っていると、執事のクラウドさんがやって来た。
「おはようございます。ラルス様」
「おはようございます。走り込みのために外に出たいのですがよろしいですか?」
「外に出ることは大奥様から禁止されております。走り込みでしたら、中庭で我慢していただきます」
「そうですか・・・わかりました。お手数おかけしてすみません」
そう頭を下げると、クラウドさんは慌てたように言った。
「ラルス様。簡単に頭を下げてはなりません」
「ですが、悪いことをしたら謝る。当たり前のことではないでしょうか」
「そのお気持ちは大変良いのですが、私共は使用人です。下の者に頭を下げては示しがつきません」
「そういうものなんですか」
「はい。ラルス様はメダル侯爵家の跡継ぎなのですから」
貴族というのも大変なのだなと思いながら僕は頷いて言った。
「わかりました。これからもおかしな点があればご指摘をお願いします」
そう言ってから中庭に向かう。幸いこの家の中庭はかなりの広さがあるので走るのにも問題ないだろう。
「クラウド様。ラルス様はいつもこんなに早くに起きていたのですね」
中庭に向かうラルスを見ながらそう呟く騎士にクラウドは少しだけため息混じりに言った。
「メビウス。他の見張りにも徹底してください。ラルス様が無断で外に出ようとすれば全力でお止めすることを」
「逃亡する可能性があると?」
「ラルス様は大事な我がメダル侯爵家の跡継ぎ。万が一ということを考えて対処してください」
クラウドの言葉に頷く騎士。
「わかっております。まだラルス様を煙たがっている人間もおりますが・・・あの様子だとすぐに馴染むかもしれませんね」
「ええ、ラルス様はあまりにも純粋すぎる。愛人の子供だからと差別するような無礼な人間はいないと思いますが、くれぐれもお願いします」
そう言いつつも、ラルスにはきちんと監視をつける必要があるだろうと思いながらクラウドは部屋に戻るのだった。
走り込みをしてから、僕は汗を流してから厨房へと向かっていた。中では料理人が仕込みをおこなっており、僕は近くの料理人に声をかけた。
「おはようございます。何かお手伝いできることはありますか?」
「え?ら、ラルス様?」
「はい。そうです。お名前聞いてもいいですか?」
「キッドと申します」
「では、キッドさん。お手伝いできることはありますか?」
「そ、そう言われても・・・」
「こら、キッド!サボるんじゃねぇ!」
そんな風に話をしてると、厳ついおじさんに怒られるキッドさん。多分料理長であるその人は近くの僕を見ると明らかに不機嫌そうに言った。
「ラルス様。仕事の邪魔はよしてください」
「すみません。お手伝いできればと思ったのですが・・・」
「必要ありません」
「ちょっ、親方。その言い方はないでしょう」
「いえ、お仕事の邪魔をしてすみません」
そう謝ってから僕は料理長を見ながら言った。
「その上で何かお仕事ありましたらください。やることなくて暇なので」
「坊っちゃんの暇潰しに付き合うことはできません」
「では、厨房の一部を貸してください。邪魔はしませんから」
「・・・好きにしてください」
「はい。ありがとうございます」
そう言ってから空いてる場所に入って僕も調理をする。トントンとリズムよく包丁を扱うと、キッドさんが感心したように言った。
「ラルス様、お上手ですね」
「ありがとうございます。昔からやってるのでこの程度なら出来ます」
「昔から?」
「はい。母が死ぬ前から僕の仕事だったので」
そう言うと少しだけキッドさんがまずいという顔をしたけど、僕は気にせずに言った。
「昨日お会いした時にお祖母様が随分とお疲れのように見えたので、少しでも元気になって欲しいんです」
「そうなのですか?」
「ええ、最近お食事を残すことが多くありませんか?」
そう聞くとキッドさんは思い当たることがあるのか頷いて言った。
「そう言われてみれば確かに・・・」
「このままではお祖母様が倒れてしまいそうなので気休めでもこうして食べれそうなものを作ってあげたいんです」
「なんでそこまでするのですか?」
「家族ですから」
そう笑うとキッドさんとそれを聞いていた使用人さん達は何やら驚いたような表情をしてから優しい表情でこちらを見てきた。唯一料理長は渋い顔をしていたけど、邪魔をしたくないので何も言わないでおく。