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プロローグ②

「やあやあ我が親愛なる部下達よ、今日は私の為に集まってくれて有難う、この国の幹部が全て集まるのは、この大陸を統一した時いらいかな」


玉座の前に100を超える魔族が集まる、基本的に己の強さによって地位が上がる傾向にあるこの国において、この世界の最高戦力が集まったと言っていいだろう。


「あのう…………ベリアルさま、本日はどの様な話をされるのか知らないのですが……」


この強者が集まる空間に異質な雰囲気を持つ、まるで一般人の様な男が最初に声を発した。


「ああエノク君いつも私の秘書をしてくれて有難う、今日は君にも関わる事だからしっかりと聞いてくれ」


エノクと呼ばれた男は、強さを重視するこの国で例外的に選ばれた男だ。


「はい……」


「今日集まって貰ったのは他でもない、私は魔王を辞め、この世界から去る事にした」


シーンと静まり返った玉座の間が一気にざわついた。


「辞めるって何故ですか、この大陸を統一して100年、魔王様は素晴らしい完璧な統治をされてきました、民も魔王様が君臨してるからこそ安心して暮らせるのです」


ここにいる全ての者が思う事を代表してエノクが尋ねる。


「エノク君、君のいう事はもっともだ、私は今日まで自らが考えうる最善の統治を行ってきたつもりだ、だがそれは私にとっては最善ではなかったのだよ」


「どういう事ですか、どうかお考え直してください」


必死に懇願するエノクに、演技がかった魔王ベリアルが応える。


「いやダメだ、既に私は決断した。№2である君に相談しなかったのは謝るよエノク君、君に言ってしまえば反対されるのは目に見えてたからね」


「そんな……」


「お詫びとしてという訳でも無いが、私が居なくなった後の魔王代理としてエノク君、君が仮の魔王だ」


「えええええぇぇぇ!そんな無理ですよ、僕が魔王になんて、そんな器じゃないですよ」


ざわつく会場にエノクの声が響く。


「そうだ君は魔王の器ではない、だからこそ誰もそのまま君が魔王になるとは思わない、そんな君を中心にして新たな魔王の選出方法を決め、君たちの手で新たな魔王を決めるといい」


うつむいてたエノクが振り絞る様に声を出し、魔王ベリアルにしっかりと眼を合わせて答える


「もう決めた事なのですね、分かりました必ずや新たな魔王の選定という大役、このエノクがこなしてみせます」


覚悟を決めたエノクの声に満足するように、ベリアルも答える。


「君のそういう、どんな無理難題をも引き受けて、苦しみながらも全てを完璧にこなして見せる姿が好きで№2にしたからね。一番大変であろう君の姿が見れなくなるのは悲しく思うよ」


「そんな……」


うつむくエノクを余所に別の魔族が尋ねる。


「魔王様一つ確認しても良いでしょうか」


いまだにざわつく玉座の間で、透き通るような声で一人のメイドが手を上げた。


「なんだいアルドラ、これが最後になるんだ、好きに質問するといい」


「魔王様が異世界に発たれるのは分かりました、では私が魔王様と共に異世界へ付いていくことは可能でしょうか?」


表情一つ変えず、ベリアルに質問をぶつける。


「なるほどね、誰かが聞いて来るとは思ったが君が聞くのか……いいだろう認めよう。希望するものは私と共に異世界へ行くことを認める、だが覚悟はするように、どの様な異世界に行くのか、行くまで私にも分からない、私より強い者が溢れるそんな異世界もありえるかもしれない」


「ありがとうございます」


いつの間にかざわつく玉座の間が静かになっていた。


「最後に私が集めた宝物庫のコレクションは、私のお気に入りの一部は持って行くつもりだが、ほとんどは置いていく、それもエノク君を中心に話し合い分けあってくれ」


魔王ベリアルは玉座から立ち上がり、最後に声を掛ける。


「共に異世界に行くことを望む者は、今夜12時までに私の居住区に来るといい。では諸君、長い間世話になったな、私無き後のこの世界を頼んだぞ」



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



「私とローレンスを含め5名か、まあ予想通りのメンバーかな」


魔王ベリアルの居住エリアにある庭に5人?の者が集まっていた。


「アルドラ、メイド長という役目が気に入っていたのでは無いのか?新しい世界では城を作る予定は無いぞ」


すこし挑発的に魔王ベリアルが尋ねる。


「かまいません、私はこの城に仕えるのではなく、魔王様に仕えているので、魔王様が行くところこそ私が行く場所です」


相変わらず表情一つ変えずに応える。


「エディお前は№3地位を得ている、この世界に残れば相応の地位が約束されているはずだが良いのか?」


「ベリアル様、ご心配は無用です。私は私の目的の為に貴方と共に異世界へ行くのです」


ハッキリと理由を答えて無いにも関わらず、ベリアルは納得するような表情を見せる。


「ゴレム、君は来るとは思っていたよ、だが君は大きすぎる10分の1は連れて行こう、だが残りは無理だ、この世界に残したまえ」


「………………」


ゴレムと呼ばれた巨大な金属製のゴーレムは、自らの体を10分の1だけ分離させ、小さい体の方が中心へ歩いて行く。


「では行く前に一言、私は次の世界ではこの世界の様に魔王として君臨し全てを治めるつもりは無い。私は私が楽しむ為に、次は最小限の接触で世界に関わり観察するつもりだ、良かったら君たちも私と同じく余り深く世界に関わらないで欲しい、是非私と共に新世界を楽しもうでは無いか、さあローレンス初めてくれ」


ベリアルが声を掛けるとローレンスが頷き応える。


「分かった、では魔方陣を起動する、円の中心に集まってくれ」


集まった5人は魔方陣の中心へ進む。


「ほぼ問題はないと思うが、失敗してここで全員粉々になっても恨まんでくれよ」


「怖い事を言わないでくれよローレンス、君と私で組み上げた術式だ失敗するはずがなかろう」


12時の鐘の音がなる


「いったいどこからその自信が出てくるのやら、流石は私が見込んだ魔王・・いやもう王ではないのだな、ではベルアル新たな世界へ共に」


「まっていろよ新世界、この私を存分に楽しませてくれよ」


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