表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TABIBITO  作者: 大帝
2/4

Miss.Friends

意識の中で、俺はアルバイトをしてた。


でも一人の女が不憫でならない。


人の孤独は黒歴史を賄いながらも、明日も明後日も、現行いまから段々静まる悪夢を見ている。

Miss.Friends


 うるさい女がいた。


 たったひとりでも、さんざん喚き散らし、まわりの人を窮地に追い込むのだ。


 缶コーヒーを飲んでおちついていた彼は、そのひとの口数の多さにそれほど嫌気はささなかったが、もう少し控えた方が良いとは思っていた。


 そのひとは、ここの仲間内でも彼女の友達の間でも、やはり良くは思われていない様子で、なにかと不憫な態だった。


 彼女は、自分が嫌われている、と誰かから直接言われたでもないが、人間の性、それとなく気付いてはいた。


 ある晩、皆その日を終わらせて、彼女もそれなりに疲れていた様子で、次第に彼に近づいてきた。


 彼はいつものように缶コーヒーを飲みながら、その夜はじめて彼女に質問をした。


 ”疲れた?”と、一言ではあったが、彼女にはずっしりきた言葉である。


 その言葉が、心の水のしみたカーテンをおろした様で、彼女は狂ったように彼に悩みごとを語ってきた。


 彼はどうするワケでもなく、ただ黙って聞いていた。彼女は、随分前から自分の評判は気にしていたと言う。


 しかしその言いようは、ここでは相当禁物だった。


 皆が耳を欹てて聞いている。


 善人ばかりではない、どちらかと言うと、悪人の方が多いここでは、自分の否を認めたが最期、つけ込む輩が多いのである。


 彼女は、どこからか別のところから自分を眺めている様に彼に喋り、彼はため息を呑み込む。


 彼女は心の中から自分を見ていたのだ。


 しばらくして、喋り疲れて黙った彼女の背後は、真っ黒に染まり込み、彼女は気付かず、彼は黙っていた。


 その人群むれは、彼女を呑み込んだ挙句、その前にいた彼をも呑み込んだ。


 彼は思わず自分の身を案じていたのだ。


 二人とも狂って死んだように見えた。


 人々は各々話し出し、彼と彼女について噂する者はなかった。


人にまつわる物語には、得てして活力を湧かせるものが内在してます。


孤独をモノにできるかどうかは、人を大切にできているかどうかに付随しております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ