四話 君の名を。
更新が大変遅れてしまって申し訳ありません。
忙しさにかまけてしまい、遅延してしまいました。
これからはコンスタントに上げていきたいと思っておりますのでどうかご容赦ください(*- -)(*_ _)ペコリ
-追伸-
ええ、そうです。サブタイトルパロりました。
新海誠様申し訳御座いません。
釣ろうなんて思ってないんだからね!///
「想像がほとんど当たってるって…?」
彼方は信じられずいや、頭では理解しているのだが今度こそ本当に少女に会えなくなるのではないか、という恐怖で無意識のうちに自分の脳内に浮上している答えを搔き消していた。
「分かっているのに聞くなんて、おにーさんはいじわるなのね」
頬を膨らませながら少女は言う。
「ちっ違う!僕はそんなつもりで言ったんじゃなくて…」
焦って応える彼方。
そもそも少女も本当に不満で言っている訳では無かったのだが、そんな彼方を見ているとこちらが悪いことをしたように感じられ、彼方の左隣に腰を落とし横顔を覗き込むようにして謝罪代わりにこう言った。
「じゃあどういうつもりで言ったの?」
「いや、それは…」
覗き込む少女に目も合わさず、川の流ればかり見て言い淀む彼方。
その様子だと本当に意地悪で言われたのではないかと心配になってくる。
そして再び少女が催促の言葉を口にしようとしたとき、彼方が数秒先に口を開いた。
「僕は……僕は、君が人ではないなんて信じたくはなかったんだ」
言い淀んでいた割には真っ直ぐに通った彼方の声。
その内容に少女は驚くが、そう思いたくないという彼方の理由が分からない。
彼方は川を見るのを止め、少女の目を見つめて続ける。
「君が人では無かったら、もう会うことが出来ない気がして……。何故か分からないけど、君に会えなくなるのは嫌なんだ」
不意打ちである。
少女は衝撃と恥ずかしさにやられて彼方の目を到底見ていられなくなり、先ほどの彼方同様、川に目線を移動させる。さらに顔も火照ってしまい、黄昏時の空よりも朱い。
そんな少女を見た彼方もまた然り。
どれ位の時間が経ったのだろうか、先程から無言の時間が流れ、川のせせらぎだけが二人の無の時間を埋めてくれている。
そんな中、少女は顔の火照りも収まり、立ち上がって大きく深呼吸をした。
その少女の様子に彼方も目を向ける。
先に沈黙を破ったのは少女の方だった。
「あたしに、名前を付けてよ、おにーさん」
そう彼方に微笑みかける。
その言葉を聞いて彼方もやっと口を開き、
「ぼ、僕が?君に名前を?そんな大事なこと、なんで?」
久しぶりに声を出したからか、少し声が掠れている。
「そういう大事なことはもっと親密な人にして貰うべきだよ」
そう言う彼方に、立ち上がったまま真っ赤な夕焼け空を仰いで言った。
「親密だった人は確かにいたし、おにーさんの言い分ももっともだと思う。
でも、もうその人たちには一生会えないし、会えたとしても申し訳が無くて会えないよ。
それに今一番親密なのはおにーさんだしね」
言い切った少女の表情はまるで憑き物が落ちたようにとてもスッキリしている。
だがやはりそれとは正反対に彼方は心配そうな面持ちだ。
「それでもやっぱり僕に名前を付けさせるっていうのは流石に…」
「もう、心配性なんだから。あたしはね、おにーさん」
少女は再び座り直して揺らいでいる彼方の目を見つめる。
「あたしはね、あたしはおにーさんがいいの。名付け親くらい選ばせてよね」
そんなことを言われた彼方の顔は真っ赤だ。
だが、それでも少女と目を合わせて真意を伺おうとする。
しかしそんなことしてみても今の彼方には不可能で。
だから最後にもう一度聞いた。「本当に僕でいいのかい」と。
しかし答えは変わらず、そんな少女にひとつ約束を持ち掛けた。
「名前を付けるから僕のことも名前で呼んで欲しい」
「うん、分かった」
少女は少し驚いたが当たり前のように笑顔で了承し、これから呼ばれるであろう自分の名前を楽しみにしている。
それを見た彼方は覚悟を決め、名前をぽつりと口にした。
「夢乃」
「夢乃かぁ、嬉しい。本当に…嬉しい」
そう呟いた夢乃という名前を与えられた少女の瞳には涙が浮かんでいて、そんな夢乃に彼方は今までと比べ物にならない程の愛おしさを感じた。
「嫌がられなくってよかったよ」
照れくさそうに後頭部を搔きながら彼方がそう言うと、今度は夢乃が改めて感謝の言葉を口にする。
「ありがとうおにーさん、本当に嬉しかった。あ、おにーさんじゃなくて彼方さん、だっけ?」
てへ、と舌を出して自分の頭を小突く夢乃。
「さん付けは止めてくれよ、ちょっと距離を感じる」
少しだけ不満そうに呟く彼方。
「ごめんね、彼方…くん?」
夢乃は頭を傾げる。
「呼び捨てでもいいのに」
「ダメダメ、そんなこと恩人にできるわけないでしょ、彼方くん」
「気にしなくていいのに…」
そうやって会話している二人はまるで、姉に諭されている姉弟の様だ。
「ちなみに、夢乃って何か意味はあったりするの?」
純粋で透き通った空色の瞳を覗かせる夢乃。
これに見つめられては答えないのは不可能だった。
「現実と非現実が混ざり合った誰そ彼時という夢のような時間に出会って、夢のような体験をさせられて、夢に出てきそうな美少女だったから「夢の中の少女」みたいな意味で夢乃」
それを聞いた少女は感心して「へぇー、すごいねー!」と感嘆の声を上げている。
一方彼方はそんな夢乃をよそに、厨二病みたいな理由で恥ずかしいと悲嘆の声を上げていた。
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