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ウラオモテヤナ猫  作者: ノーリターン新
25/28

妖精保護区域・第五区画

ジリリリリ!


「・・・・」


「おーい、A子さん!もうあがって良いですよー」


「はーい」


ガチャン、ヒュゥゥン・・・


「つ、疲れた・・・腰にくるわ」「イタタタ」


ッガッチャンコ!


今月も真面目に働いたわ。


ゴソゴソ・・・シュルシュルッ


「んしょ・ふん」


「みなさんお先に失礼しまーす、さようなら」


「お疲れー」「おやすみ!A子ちゃん」


ペコリ


キィ・ガタン・キィコ・キィコ


「さ、寒いっ」「お肌が荒れちゃったな・・・」


洋服屋さんのショウウインドウ春物の新作に変わってるわ。

いいなあ。私も貧乏じゃなかったら・・・

オシャレなお洋服着たいなあ。


キィコ・キィコ


忘れるとこだった。猫ちゃんにおやつ頼まれてたんだ。

えっと、くるくる?くるくるなんて言ったかしら?


「うーん、思い出せない!」


キィコ・キィコ


ここのコンビニに売ってるかしら。

キィッ・ガタン


「いらっしゃいませー!」


・・・・・


うーん、わかんない!


「あのう、すみません」


「ハイ!なんでしょうか?」


「新発売のお菓子の、くるくるなんとかってお菓子ありますか」


「・・・・」

「ああ、くるくるポンチョ・乙女味ですね?」


カアアア


「は、はい」


「こちらにございます!」


ピッ


「128円になります」


チャリチャリ


「ありがとうございましたあ!」


ガッタン・キィコ・キィコ


「さ、寒い!」


は、恥ずかしかった・・・


・・・くるくるポンチョ・乙女味だって。

ふざけたネーミングだわ・・・

人食い人種かしら。

ザクロは人の味がするって言うけど。

人の味って言うからには、人を食べたのねきっと・・・

それとも乙女を汚す時の男の人が味わう味なのかしら。


「い、いかがわしいお菓子だわ!」


若くてハンサムな店員さんに乙女味なんて言われたから。

恥ずかしくてどーかなりそ〜だったわ。


キィ・・・ガッタン!


テクテクテク


ガチャ・ガチャガチャ・キィ・バタン・ガチャン


「ただいまあ・・・」


「おかえりなさいにゃ」「おかえんなせえ!アネゴ」


「猫ちゃんのお菓子買ってきたわよ」

「私にもちょっとちょうだいね」

「あたたたた・・」


「どうしたのにゃ?」


「腰が痛いのよ、寝れば治るんだけど」


「わーい、くるくるポンチョ・乙女味なのにゃー」


聞いてないわね、デブ猫


べリッ・ガサガサ・バリバリ!ムシャムシャ


「う、ウマイのニャー。」


「ほ、ホント?A子にも食べさせなさい」


ポイッ


「あーまだ僕一口しか食べてないのにゃー」


ガサガサ・ムシャムシャムシャ


「?なにこれ。普通のポテチじゃない」「塩味の」

「これのどこが乙女の味なの?」「謎だわ」


商品名が誇大広告なの?

私の知らない世界だわ。


「ニャー、猫にくれなのニャー」


「ハイハイ。A子はいらないから猫ちゃんとタル君で食べなさい」

「私はお風呂に入るから」


「うまいのニャー!」「あっしにもくだせえダンナ!」


聞いてないわね、猫と亀。


スルスル・シュッ


「んしょ・んしょ・ふう」


まだ沸いてないわね、まーぬるくてもいいか!


「さ、寒い!」


チャプッ


バシャー・・・ザブーンッ


「ふう・癒されるわー・・・」


あ、そうだ。日曜日にちなみちゃんが遊びに来るんだ。

猫ちゃんとタル君に相手してもらいましょう。

今日もA子はいい子だったわ。誰もほめてくれないけど。


「フンフンフン♪」

「またお会いできるといいですね」

「えへへ、A子でした~。おやすみなさい」


カコン


挿絵(By みてみん)

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