妖精保護区域・第四区画
「・・・・・」
ムシャムシャムシャ
「・・・・・」
「うーん、むにゃむにゃ。ニャ?」
「もう夜なのかにゃ」
「にゃ。おねいさん、いつのまに仕事から帰ったのにゃ」
「にゃ?タルタルソース君はどこへ行ったのにゃ」
「おねいさん。何を食べてるのニャ?」
「カステラよ」
「この前、伊藤さんちの子のちなみちゃんを預かったお礼に」
「奥さんからもらったのよ」
「日本一有名な長崎の文明開化堂のカステーラよ」
「こんな高価なおやつ滅多に食べられないわよ」「早い者勝ち」
「ガーン、猫にも分けて欲しいのニャー」
「半分以上食べてるのニャ」「A子ちゃんもメタボになるのにゃ」
「私の胃はブラックホールとホワイトホールに繋がってるのよ」
「東京タワーだって食べることもできるのよ」
「ニャー」「ニャ?」
「さっきからタル君が居にゃいと思ったら」
「床の上で無言で食べているのニャ」
「猫のダンナ、アネゴは本気ですぜ」「逆らわないほうが良い」
「ハイ、猫ちゃんの分」
「ニャ」
もぐもぐもぐ
「う、うまいのニャー」
ウルウル・・・
「何?猫ちゃん。泣くほど美味しいの?」
「そうなのニャー、猫の舌が感動しているのニャー」
「それにしてもあの時、一瞬アネゴがママに見えましたぜ」
「私も自分の子じゃないかって勘違いしたわよ」
「ニャハハ」
「男も知らないのに子供を産めるわけないのにゃ」
「A子ちゃんもお子ちゃまなのにゃ」
シュッ・バチン!
「キュゥ・・・」
「フンッだ!」
「久しぶりにくらったのにゃ。A子ちゃんの幻の右ストレート」
ピンポーン
「ハーイ」
ガチャン・キィィ
「伊藤さんのお奥さん!今カステラを頂いていたところです」
「え?」
ボソボソボソ
カアアア・・・
「猫のダンナ。この音は一体?」
「A子ちゃんの顔が赤く染まる音にゃ」
「ハイ!ハイ!わざわざご親切にありがとうございます!」
バタン!タッタッタッタッ
・・・・・・・
「A子ちゃんが慌てふためいて飛び出していったにゃ」
「アネゴの身に何かあったんですかい」
・・・・・・・・
もぐもぐもぐ・・・ムシャムシャムシャ
・・・・・・・・
タッタッタッタッ
キィ!バタン!ガチャン
「はあ!はあ!はあ!」
「A子ちゃん何を慌てているのニャ」
「子供は黙ってなさい!」
「アネゴ、パンツを握りしめてどうしたんですかい」
「パンツとブラジャーなのにゃ」
「伊藤さんの奥さんが洗濯物が外に落ちてるって教えてくれたのよ!」
「私の下着が散乱してたわ!」
「ああああ」「また洗濯しなきゃいけない」
「ニャー、おねいさん大人のくせにイチゴ模様のパンツなのにゃ」
「子供はだまらっしゃい!」
「A子ちゃん何で大人っぽい下着を買わないのにゃ?」
シュッ
「甘いのにゃ」
ブンッボクッ!
「キュゥ・・・」
「甘いわね猫ちゃん。右と見せかけて左アッパーよ」
「アネゴは昔ヤンキーだったんですかい?」
「え?違うわよ」「お嬢様学校の女子高に通ってた普通の子だったわよ」
「あっしはアネゴについてゆきますぜ!」
「あら、私はアバズレではなくってよ。オホホホホ!」
「あ、ハイハイ。おひらきよ!タル君。猫ちゃん」
「亀だぜ!またなっ!」
「・・・・・・」
「・・・猫ちゃんまだ気絶してるわ。加減したつもりなのに」
「オホホホ!A子ちゃんはお嬢様学校出身なの!」
「また会えるといいですね。えへへ。A子でしたぁ!」




