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ウラオモテヤナ猫  作者: ノーリターン新
22/28

妖精保護区域・第二区画

ガチャン・ガチャガチャ・キィ・バタン・ガチャン!


「ふう、ただいまあ」

「猫ちゃんとタル君のおやつ買ってきわよぉ・・・」

「義理チョコに愛をこめないで30本入りと空振り三振王バー」

「よく同じおやつばっかしで飽きないわねえ」

「あ、こんにちわA子です。この前ははしたないところをお見せしてしまってごめんなさいね。私はおしとやかなのよホントに」

「???」「猫ちゃんタル君、また誰かお客さんが来てるの?」


「ニャ、おねいさん。今度は知らないおばさんが来てるのにゃー」


「アネゴのこと知ってるみたいですぜ」


「あら、A子ちゃん。お久しぶりねー」


「サダ子さん!お久しぶりです!」

「あ、そうか。ここの住所は教えてありましたね!」


「A子ちゃん、スーパーのバイト突然辞めたから心配したのよー」


「えへへ、ごめんなさい。近所の町工場で働いてるの」


「どーなの?今の仕事は」


「仕事はきついけど。お給料が良いからまだ続けるつもりです」


「それよりも前から気になってたけれど」


「はい?」


「あなたいつもスッピンね?」「お化粧道具持ってるの?」


「ゲ・分かります?」


「そりゃそうよ女なんですもの」

「スーパーの皆の間じゃ、スッピンのA子。で有名だったわよ」


「ゲゲ!」


「素顔でもこんなに可愛いんだから」

「お化粧したら、あなたいい女に化けるわよお・・・」


「ニャ、A子ちゃんはお化けになるのかにゃ?」


「猫ちゃんは黙ってて」


「ニャー」


「彼氏いるの?居ないの?」


「い・居ません!」


「あなたいつもジーパンにトレーナーなの?」

「オシャレな可愛らしい洋服を買うお金がないの?」


「い・いいの!A子は男の子みたいな女の子なんです!」


「あたしの息子を紹介したいんだけど。まだ中学生だからねえ」


「と・ところで。サダ子さんの苗字はなんていうの?」


「サダ子はサダ子よ。それでいいじゃないの。アハハハハ!」

「ところであなた、初体験はまだなの?ネンネなの?」


ボンッ!


「この音はなんですかい?猫のダンナ」


「A子ちゃんの顔から火が出た音なのにゃー」


「わ・わ・わ・私は男なんて欲しくありません!」

「男は皆、ケダモノです。オオカミです!」


「A子ちゃん!自分の本当の気持ちに素直になりなさい」

「いつか素敵な白馬に乗った王子様が、迎えに来てくれる」

「なんて、子供の頃の夢をいつまでも、引きずってちゃいけない」

「現実と向き合うのよ!A子ちゃん!」


「いいんです!私は生きてゆくだけで精一杯なんです!」


「さみしい男と女が寄り添い合って夫婦の絆が生まれるのよ?」


「あなたもいつかわかる日が来るわ」


「うにゃー!」「オスッ!」


「何?あなたたち泣いてるの?サダ子さんの話が理解できるの?」


「感動したのニャー!」


「亀にだって通じますぜアネゴ!」


「あ、ハイハイ。皆さん、おひらきだそうよっ」


「ああああ」「何で、ここの決まりごと知ってるんですか?」


「皆さん、暴飲暴食は控えましょうねー。サダ子でした!」


「バイバイなのニャー。猫にもセリフが欲しいのにゃー」


「亀にも欲しいですぜ、アバヨッ!」


「A子でしたあ、恥ずかしいです。えへへ」

「またお会いできるといいですね。さようなら」



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