妖精保護区域・第二区画
ガチャン・ガチャガチャ・キィ・バタン・ガチャン!
「ふう、ただいまあ」
「猫ちゃんとタル君のおやつ買ってきわよぉ・・・」
「義理チョコに愛をこめないで30本入りと空振り三振王バー」
「よく同じおやつばっかしで飽きないわねえ」
「あ、こんにちわA子です。この前ははしたないところをお見せしてしまってごめんなさいね。私はおしとやかなのよホントに」
「???」「猫ちゃんタル君、また誰かお客さんが来てるの?」
「ニャ、おねいさん。今度は知らないおばさんが来てるのにゃー」
「アネゴのこと知ってるみたいですぜ」
「あら、A子ちゃん。お久しぶりねー」
「サダ子さん!お久しぶりです!」
「あ、そうか。ここの住所は教えてありましたね!」
「A子ちゃん、スーパーのバイト突然辞めたから心配したのよー」
「えへへ、ごめんなさい。近所の町工場で働いてるの」
「どーなの?今の仕事は」
「仕事はきついけど。お給料が良いからまだ続けるつもりです」
「それよりも前から気になってたけれど」
「はい?」
「あなたいつもスッピンね?」「お化粧道具持ってるの?」
「ゲ・分かります?」
「そりゃそうよ女なんですもの」
「スーパーの皆の間じゃ、スッピンのA子。で有名だったわよ」
「ゲゲ!」
「素顔でもこんなに可愛いんだから」
「お化粧したら、あなたいい女に化けるわよお・・・」
「ニャ、A子ちゃんはお化けになるのかにゃ?」
「猫ちゃんは黙ってて」
「ニャー」
「彼氏いるの?居ないの?」
「い・居ません!」
「あなたいつもジーパンにトレーナーなの?」
「オシャレな可愛らしい洋服を買うお金がないの?」
「い・いいの!A子は男の子みたいな女の子なんです!」
「あたしの息子を紹介したいんだけど。まだ中学生だからねえ」
「と・ところで。サダ子さんの苗字はなんていうの?」
「サダ子はサダ子よ。それでいいじゃないの。アハハハハ!」
「ところであなた、初体験はまだなの?ネンネなの?」
ボンッ!
「この音はなんですかい?猫のダンナ」
「A子ちゃんの顔から火が出た音なのにゃー」
「わ・わ・わ・私は男なんて欲しくありません!」
「男は皆、ケダモノです。オオカミです!」
「A子ちゃん!自分の本当の気持ちに素直になりなさい」
「いつか素敵な白馬に乗った王子様が、迎えに来てくれる」
「なんて、子供の頃の夢をいつまでも、引きずってちゃいけない」
「現実と向き合うのよ!A子ちゃん!」
「いいんです!私は生きてゆくだけで精一杯なんです!」
「さみしい男と女が寄り添い合って夫婦の絆が生まれるのよ?」
「あなたもいつかわかる日が来るわ」
「うにゃー!」「オスッ!」
「何?あなたたち泣いてるの?サダ子さんの話が理解できるの?」
「感動したのニャー!」
「亀にだって通じますぜアネゴ!」
「あ、ハイハイ。皆さん、おひらきだそうよっ」
「ああああ」「何で、ここの決まりごと知ってるんですか?」
「皆さん、暴飲暴食は控えましょうねー。サダ子でした!」
「バイバイなのニャー。猫にもセリフが欲しいのにゃー」
「亀にも欲しいですぜ、アバヨッ!」
「A子でしたあ、恥ずかしいです。えへへ」
「またお会いできるといいですね。さようなら」




