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18歳。  作者: やきざかな
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再会

夢を見た。


当たり前に通っていた通学路。傷だらけのクリーム色の壁。チョークの跡が少し残った黒板。不格好に並べられた勉強机たち。微かにコーヒーの匂いがする職員室。あいた窓の隙間から聞こえる野球部の声。ここだけ見ればなんの変哲もない高校生活。だけど少し違う。この年は、あの事件があった、、、


鏡を見ると目尻が少し濡れていた。

なぜ今更こんな夢を見たんだろう。あの年から、もう五年もたつというのに。

ああ、そうか。今日は高校の同窓会がある日だからこんな夢を見たのか。


窓の外に目をやると、夕日が沈みかけ、空は紅く染まっていた。


ソファーに腰掛け、机の上においた案内を手に取る。


〝20時30分 駅南 、居酒屋 、松竹梅〟


毎回ここだな。みんなは飽きないのか?

どうも俺は、思い出話を肴に酒を飲み交わすだけの同窓会は苦手らしい。参加するのは今回で三回目になるが、みんな毎度毎度同じことを繰り返すだけで正直つまらない。

そもそも、卒業してから五年しか経ってないのにもう三回目って。定期的に開催しすぎだろ。

とかなんとかしているうちに、20時になったので急いで家を出た。


松竹梅の前にはもう、ちらほらと知った顔が集まっていた。

「よお!赤坂久しぶり!」

振り向くと、仲の良かった遠藤がいた。

「ああ、おまえかよ笑」

「久々にあった親友にそれはないやろー?

てかさ!来てんだよ!今回!」

「は?」

「お前仲良かったもんな!初参加やぞ?声かけてこれば?」

「いや、だから誰よ」

こいつは昔から変わらないな!主語がねーんだよ、主語が!

「あ...」

遠藤がふぬけた声で俺の後ろを指さす。

「は?」


「久しぶり、赤坂くん。」


聞き覚えがある声。動機が速くなる。息が苦しい。呼吸するのが下手になったみたいだ。

はやく振り向かないといけない、俺は彼女に会うめめに毎回これに参加していたんだから。


「ひ、久しぶり。高田」


そして謝らなければいけない。あのことを。

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