都市で①
書きたい事を好きに書いてます。
それでも構わんって人は読んでください。
洞窟のボスを倒し、すぐ外へでて近くの木陰で休憩。俺はリリネイに膝枕してもらって疲れを癒している。ほんと女の子っていい匂いするよね?リリネイは花の香りってのもあるけど、それに限らず女の子全般ね。
洞窟の先に目指してた都市があるだろうと思い何の確証もないまま抜けてきたけど、間違ってはいなかったようだ。休憩している場所から数キロ先にそれらしいのが見えている。もう少し休憩してから行くことにしよう。
2時間ほどリリネイとイチャイチャして気が済んだところで、都市に向け出発することにした。この辺は木々が多いが、少し下りるとあたり一面赤い草原が広がっていた。もうあんまり驚かない。
「あの赤い草原は普通に通っても問題ないの?触れただけで毒をうけるとかあったりしないかな?」
見た目があれだとさすがに少し怖い。何かあってから対策をとるのと事前にそれに備えて対策するのでは天と地の差がある。少しビビるくらいがモブには丁度いいのかな?
「えっと、あれは恐らく三途草ですね。毒の心配はないですし、危険度は低いと思います。あの草は三途の川周辺に生えていたとされる草で、根から川の赤い水を吸ってあの鮮やかな紅色になったと言われています。実際はどうかわかりません。」
危険性は低いけど、説明を聞く限りではあまり縁起のいいものではなさそうだ。元いた世界でいうと彼岸花みたいなもんかな。あれは有毒だけどね。
「毒はなしか、ありがとう、助かったよ。それじゃあこのままさくっと都市まで進んじゃおう。」
毒がないのなら怖がる必要もないのでお構いなしに草原を抜けていき、あっさり都市【チュージャ】の目の前までやってきた。
入る前に自分の姿を隠す必要があるので、リリネイに先に入ってもらって正体を隠せそうな衣服を購入してもらうことにした。値段素材は気にせずにと頼んだが、大丈夫かな。
入口付近で待っていると目立つ上に、他の魔族と鉢合わせになっても面倒なので少し距離を置いてリリネイの帰りを待っていた。
15分くらい経ったごろにリリネイが出てくるのが見えたので瞬零でさっと近寄って抱き抱え、少し離れた場所まで移動した。
「おかえり、リリネイ。あ、驚かしちゃってごめんね。目的のものはきちんと買えた?」
「ただいまです。あ、い、いえ全然大丈夫ですよ。お姫・・・抱っこ・・・れちゃ・・。あ、はい頼まれていた身を隠せそうな服買ってまいりました。」
リリネイは少し顔を赤く染めながら買ってきた服を取り出す。それはフード付きのロングコートで全身がきちんと隠れそうだった。これで色が黒とか紺とか暗い目立たない色ならば申し分なかったんだけどね。
残念ながら純白のロングコートに金の龍が刺繍されている・・・・。
全身は隠れるけど、存在はすごい浮いちゃうというなんとも画期的な服を選んできたものだ。
「どう・・・でしょうか?お気に召しませんでしたか?」
すっごい不安そうな顔でリリネイが聞いてくる。お願いして買ってきてもらって文句なんて言うはずもないし、悲しい顔も見たくない。
「すごくいいね。全身が上手く隠せそうだし、結構軽い、文句なしに気に入ったよこの服。色はリリネイの好みで選んだの?」
「ホントですか!!よかった・・・気に入ってもらえるかどうか結構不安だったんですよ。色は・・そうですね自分の好み、というか私の花と同じ色にしました。ダメだったでしょうか?」
「ん?ううん、全然いいよ。じゃあ俺はこれを着て都市に入ろう。」
リリネイの花と同じ色か・・。ふむ、いいではないかお揃いみたいで。目立つとかはさておき、これを着ればとりあえず人間であることは隠せるかな? 自信はないんだけどね。
白いロングコートを着て、リリネイに甘い香りで俺の全身を覆ってもらい準備完了。いざ都市へ。
都市の中は魔族たちの活気であふれていた。見たことのない種族ばかりだが、最初の町のように急に襲われる事はなかった。やはりこの服装と匂いのおかげかな?
住む者も多いがその分商店なども賑わっていた。武器屋、防具屋、道具屋、アクセサリー屋、服屋、食事処、等どの店も沢山の魔族でごった返している。
少し奥に行くと中心部らしきひらけた場所に出た。中央には噴水があり周囲には地べたに座りながら販売しているものが大勢いる。元の世界でいうフリーマーケットのようなものかな。
その広場の一角に人が集まっている場所があり、近づいてみると、魔族同士が殴り合っていた。なぜ、誰も止めないんだろうと思い近くの野次馬魔族Aくんに尋ねてみた。
「なんで、魔族どうしで殴り合っているんですか?」
「あんた余所者かい?ありゃあ片方が殴られ屋って言ってお金を払って殴らせてもらうんだよ。」
「へー、でもお互いが殴ってないですか?」
「ただお金を払って殴るコースと殴られ屋を負かせば賞金がでるという2つのコースがあるんだよ。ちなみに後者は自分が負けてもお金は払う必要はないよ。あの殴られ屋まだ一度も負けてないんだぜ。」
なるほど、それで誰も止める奴がいなかったのか、やたら応援してるなーとは思ったんだけどさ。
それにしても・・・無敗ね~・・・ちょっと挑戦してみよっかな。あ、殴る時手が見えるから手袋買わなきゃ。
「リリネイ、ちょっと殴られ屋に挑戦してきてもいいかな?負けるかもしれないけど負けても失望しないでね。」
「もちろん、構いませんよ。タケル様が負けるとは思っていませんが・・・負けても失望するはずありませんよ?」
あいかわらずの過大評価ありがとうございます。失望されないと思っていても負けたくないよね?やっぱり。
俺は近くのフリマで白い皮手袋を購入して殴られ屋に挑戦という列に並んでまっていた。俺の前には屈強そうな魔族たちが30人も並んでいたが、全員殴られ屋に勝てなかったようだ。ホント強いのな。そして、いよいよ俺の番だ。
「ルールの説明をしとくよ?制限時間は10分、素手での攻撃のみ有効、素手ならば殴る・蹴る。投げるなんでもオッケーだ。魔法攻撃は禁止。そちらがギブアップ、戦闘不能及び私、殴られ屋がギブアップ、戦闘不能又は膝をつけば終了。私が負ければ賞金をだそう。」
殴られ屋の声は男とも女ともとれるような声だった。覆面に青いローブをかぶっていて見た目からも性別は判断できそうになかった。
殴られ屋は相当自信があるらしく膝をつかせるだけでも負けらしい、俺に限らず全員を完全に舐めてるね。一泡吹かせたいな。
「ルールおっけーです。始めましょう。」
開幕から全開だぞ?
「そちらが砂時計をひっくり返したらスタートだよ。こちらもいつでもいいよ。」
その言葉を聞いた瞬間、素早くひっくり返し同時に瞬零で間合いを一気に詰め震脚、馬歩衝捶を放つ。が、手ごたえはなく拳は空を切っていた。
殴られ屋は体を横にし、最小限の動きでかわし腕をつかまれ俺は投げられてしまった。一本背負いか。
初撃をよけた上に投げられるとは思いもしなかった。あのスピードの攻撃でダメならもうほぼ詰みじゃない?
投げられた後追撃は無く、攻撃も仕掛けてこない。殴られ屋は時間切れを待つつもりなのだろう。
となると、こちらからガンガン攻撃を仕掛けるしかないが・・・・素早い攻撃でないとダメだし。
俺は時間一杯殴り続けることにした。少しでも疲れさせて鈍くなり隙を見せたとこで一発を打つ。
俺は素早く詰め寄り、ジャブの連打を打ち続ける。相手は当然一発も当たってはくれないが、ひたすら殴り続けた。
残り時間が1分を切ったところで、わずかではあるがあいての動きが遅れた。ようやく見つけた隙だ、逃す手はない。俺は渾身の右ストレートを放つ。が、相手は難なくこの右ストレートをよけながら俺の顔面に同じように右ストレートを放ってきた。
おそらくわざと隙を見せたのだ。でなければ狙い澄ましたようにカウンターなど打てるはずがない。
俺は当然よけることもできず、カウンターで決まってしまい俺は意識を失ってしまった。この世界に来て始めての敗北となった。
次のヒロインを出したい、なんなら毎回出してもいいぐらい妄想してます。
ここまで読んでくださってありがとうございました。