名と盟約の血判状
妄想です。趣味レベルの作品です。
拙い文章力はご容赦ください。
町のおバカボスとの騒動後、住人から襲われる事を考えなくてもよくなった。助けたことも住人に伝わったためか皆親切にしてくれている。今、俺はアルラウネの案内でゆっくり町を巡っていた。いわゆるデートですな。
「ほんと一時はどうなるかと思っていたけど、住人に信じてもらえてよかったよね。まあ君の説得とやらはまるっきりダメだったけどね?」ニヤニヤ。
「も、もう、何回も謝ったじゃないですか!! それに、ぜんぶ丸くおさまったんですからその話はしないで下さい・・・。結構恥ずかしかったんですよ?」
あれから何回か同じことを言ってるんだけど・・毎回顔を赤らめるのが可愛らしくて止めれなくなっちゃった。
「ごめん、ごめん。多分もう言わないよ?」
「んーもうー、何で疑問なんですかー!!あ、通り過ぎるところでした、ここがこの町唯一の飲食店です。食糧もここで購入できますよ。」
「へー・・。俺はちょうどお腹空いてるんだけど何か食べていかない?」
「いいですね。私もあなたと一緒に食べたいなと・・・いや、お腹が減ってたんですよ。」
ん?もう言葉に俺への好意が8割がた出てましたけど・・? 俺は単純だからすぐ本気にしちゃいますよー。 ドッキリでしたー・・とかやめてね?
二人で店内に入って行った。
店内は住人達で賑わっていた。全員アルラウネだけどね。俺たちはあいている席に座る。 そういえば人間とアルラウネでは食べるものは一緒なのだろうか? ってか俺はこの世界に来て初の食事だけど・・・大丈夫かな?
「ここのお店で一番のおススメは何かあったりするかな?」
「うーん・・そうですね・・。魔樹液のハニートーストはおススメですよ。私のおススメでもあります。」
「ハニートースト・・おいしそうだね。じゃあそれを二人分注文しよう。」
なんだ、結構普通な料理じゃないか。俺は内心、フォレストGの胴体の素揚げとかおススメされたらどうしようかと思っていたところだ。 想像したら寒気がしてきた・・・・。
出てきたハニートーストを食べながら気になっていたことを聞いてみた。
「アルラウネと人間では食べるものが違ったりするの?」
「私たち以外の食について詳しくは知らないのですが・・。基本的にこの世界にいるすべての種族が食べるものは同じだと聞いた事があります。なかには例外で・・その・・人間を食べたりする種族もあるそうですが・・。」
ふむ・・食べ物はほぼ共通なのか。例外で人間を食べるもの・・・他にも魔族を食らうものとかいそうだな。 実際人間が人間を食す種族も元いた世界にはいたと聞いたし、そこまでショックは受けなかった。
「へぇ・・食べるものは皆同じなんだね。まあ人間を食らうのはそりゃいるよなー。俺は簡単に食われてやんないけどね?」
「当り前じゃないですか!!そんな事は絶対ありえません!!私が許しません!」
お、おう、すごく鬼気迫る勢いだなー・・・そんなに俺のことを大事に思ってくれてんのかな?そんなこと想ってくれるような奴いなかったからなー。 うん、結構いいもんだね。 もし演技だったら疑心暗鬼もんだけどさ。
量は大したことなかったが、食べ終えると意外とお腹いっぱいになっていた。食事代と今後の食糧を少し買ってお金を払う。 今の今まで気にもしなかったがどうやらお金は戦闘後に自動で入るようだ。
食糧は手に入れたしあと必要なのは・・図鑑かな。魔物やこの世界に存在する人種やらすべてがわかるようなものがいいんだけど・・。そんなものあるかな? あ、それと世界地図もほしいな。
「食糧は手に入れることができたんだけど、この世界の人種やらがのった図鑑とかってあったりするかな?あと世界地図もほしいんだけど・・?」
「図鑑はあるにはありますが・・最初からすべてを記載したものはないですよ。そもそも図鑑ははじめは白紙なんです。自分が目にしたものを徐々に記載していくしかないのです。例えば私達アルラウネを見た場合その図鑑にアルラウネについて詳細が自動で記載されるようになっています。」
なんか、ポコモン図鑑みたいだな・・・ただ見るだけで詳細まで確認できるならそれで充分だ。
「図鑑はどこで手に入るの?」
「普通に購入することができますが、必要ないので私が持っている図鑑を差し上げますよ。」
「おお!そう?ありがとう。助かるよ。あ、あと地図はどうかな?」
「地図もありますよ。私が持っているものをお譲りします。ただ残念ながら地図も最初は白紙ですが・・。今までいった場所は自動で描かれます。」
「ホントに!?何から何までありがとうね。」
「い、いえ、どういたしまして。」
一応、目的のものはこれで全部揃ったかな? 服装についてはここでなくても買えるし急ぐ必要はないかな。
「うん。目的のものは全部揃ったし、今日は宿に泊まって明日の朝にはこの町をでるよ。」
「え・・・もう明日にはここを発たれるのですか?もう少しゆっくりしてもよろしいのではないですか?」
「いや、ここに長居する予定ではなかったしね。君もちゃんと送り届けることができたし、充分すぎる程お礼ももらったしね。重ね重ね本当にありがとうね。」
「い、いえ・・・私はお礼というほどの事は・・・・そう・・明日には・・。」
うつむいてしまい、明らかにショックをうけているようだった。心なしか纏っている花も萎れているよウに見える。
「そんな落ち込まないで。今から発つわけじゃないんだからさ。じゃあ俺は宿に行くよ。何かあったらいつでも呼んでいいからね?」
そういって落ち込むアルラウネを置いて俺は宿へ向かった。
□ ■ □ ■ □ ■
あの人が宿に向かった後、私は考えていた。最初出会った時はあの人が正直怖かった。だって私をいじめていたグリズリーたちを一瞬で倒してしまったから・・。近づいてきたあの人に私は怖くなってつい睨んでしまっていた。
でも、あの人は優しい声で私を助けたのだと、初めて会ったのに魔物である私を心配してくれた。そればかりか傷ついていた私のために戦って傷まで癒してくれた。人間でもない私をみて奇麗だと言ってくれた。
数時間しかふれ合ってはいなくても・・・優しく強いあの人が私は大好きになっていた。だから明日すぐ発つと聞いて自分でも驚くほど酷くショックを受けてしまった。
嫌だ・・離れたくない・・一緒にいたい・・その思いがどんどん強くなっていく。決断するのに時間は掛からなかった。
アルラウネは一人決意を胸にし、あの人がいる宿へと向かうのだった。
□ ■ □ ■ □ ■
宿に着き、花のベッドに横になってアルラウネの事を考えていた。
やっぱり 「一緒に行く?」 とか聞いた方が良かったのかな・・?
まあ外面のいい俺は人に無理強いをしたりはしないんだけどね。 ただビビっただけなんだけどね。
誘ってみたはいいが・・「いや、ちょっと・・そういうの無理なんで。」とか言われてみろ、二度と立ち直れなくなるわ!! んーでも、正直連れて行きたかったよなー。
もうホント未練たらたら、後悔たらたらだった。
「コンコン!!」
キツネか!?
「どうぞー。」
しょうもない冗談はさておき、ノックの音がして、誰かが入ってくる。そこにはさっき別れたアルラウネが俺の宿を訪ねてきていた。どうかしたのだろうか?
「すみません、あなたに話したいことがありまして、ここに来ました。」
「なに?またなにかあったの?」
「いいえ、そうではないんです。私はあなたについて行くことに決めました。」
アルラウネが決意を決めたという顔をしている。
俺は内心で・・キターーーーーー!!とモブの分際ではしゃいでいた。
「いや、俺は全然構わないけど・・今の俺には旅の目的地もないしただ放浪するだけだよ?それにどっかにいる勇者とかと違って強くもない。君を守ることもできないかもしれない。それでもいいの?」
「構いません。もうついて行くと決めたんです。」
「そう・・。なら構わないよ。」
「はい!!よろしくお願いいたします。私の名はリリネイと言います。」
「よろしくね、リリネイ。俺の名は卜雅 武。呼ぶときはタケルでいいよ。」
と、お互いの名前を明かした瞬間、目の前がまばゆく光り1枚の紙切れが現れた。
「これは盟約の血判状です。お互いの名を知った際に現れます。基本的に双方またはどちらかが従いたいと思った際にこの血判状に項目を書き込み盟約をする事で主従の関係を結ぶことができます。ただ例外もあり、脅し無理やり記入した場合でも有効となります。なので簡単に名は明かさないのが普通なのです。」
「なるほど・・。リリネイが名前を明かさないから、俺も明かさない方がいいのかなって思ってたけどそういうことだったわけね。」
「すいません、タケル様を疑っていたわけではないのですが・・盟約は一生ものなので・・。盟約の項目はタケル様がお好きに決めてください。」
「え・・?俺が決めていいの?」
「はい、もちろんです。タケル様につき従うのは私なのですから。」
うん・・項目ね・・・
①主 卜雅 武 に危害を及ぼさない。
②主の命令に背かない。
③勝手に死なない。
こんなもんかな?
「項目かいたけど、この後はどうするの?」
「あとはお互い血で血判を押すだけです。」
お互いが血判を押す。すると、血判状は受理され消え去った。後書きは禁止なんだね?
「リリネイ、改めてこれからよろしくね。」
「はい!!タケル様ずっとついていきます!!」
美人魔族アルラウネのリリネイさんが俺の嫁になりました。ヒャッホーい!!!