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断罪屋『裁島』  作者: 夕夜鶴
第一章『サバキサバキ~断罪屋と殺し屋』
5/11

第三回『ネムリネムイ』

人に嘘をつくことと、人を騙すというのは同義である。


俺は子供の頃から大嫌いなものがある。

それは罪人だ。

主に殺人を犯した人間。

その姿を見るだけで俺は、自分が自分でいられなくなった。

見ているだけで憎たらしい、見ているだけで惨めだと。

そして、それを普通だと思っている社会自身も憎たらしかった。

勿論、人を殺してしまったらそれこそ奴らと同じになってしまうので、することはなかった。ただ、思っていた。

そして、それが血族によるものだというのも13歳の時分かった。

そして、俺が影の世界の言わば裁判官の役割になるということも。

これを聞いた俺と言ったら、正直、かなり興奮した。

まだ捕まっていない奴らをぶっ飛ばすことができると。

制裁を与えることができると。

ただ、親父つまりは影の世界で言う《法律偶像ユース・イドラ》の修行は実に苦しかった。

一から百までの様々な格闘技。

相撲 日本拳法 少林寺拳法 空手道 柔道 空道 剣道

銃剣道 短剣道 古武道 競拳道 柔術 忍術 骨法

酔拳 擒拿 散打 少林拳 太極拳 八門拳

天山派 截拳道 中国武術 白猿通背拳 シュアイジャオ

と、様々な格闘技を習った。

おかげで俺は、自分のことをしっかりと守ることができている。

何よりも、影の反逆者を断罪している。ここまで、敗北をしたことはない。

そして、親父の役割をしっかりと果たしている。

狙われることは多い。だが、そんなやつらなどどうせ弱いものなのだ。

人など所詮弱者に過ぎず、誰ひとりとして例外はいない。

人を殺したものは所詮人間に負けたということ以外の何者でもないのだ。

人との関係を放棄した。考えたくないと思った。

心を閉ざしたいと思った。傷つけられたくないと思った。

『どんなこと、状況においてもあるひとりの人間の《存在》というものを消してはいけない』

俺の親父の言葉だ。実にかっこつけの親父だった。

そんなかっこつけの親父が俺は好きだった。


さて、今はフリーである。何も依頼というのが来ていない。

「暇だなあ~」

正直な話、勿論仕事がしたいわけがない。だが、仕事以外何もない人間にとっては、仕事が生きがいなのだから、仕事をしていないと生きていることにはならない。ということで・・・・

「パトロールでもするか」

俺は外に出る準備を始める。ある男からもらったコートを着る。気に入っている。

俺にも親父と同様、異名がある。《束縛偶像リガートゥル・イドラ》案外かっこいい名前だ。

俺は、ナイフを5本コートの中に忍ばせ、靴を履く。

トントンと靴のつま先を床に叩き、扉を開ける。

俺は、この日ある男と出会うのだった。

それは、

実に冷淡で淡白で白状な状態で

破壊で壊滅で滅亡な亡者だった。

名は有無愚狡。異名は《表裏殺し》

殺し屋一家の長男。つまりは最凶、いや最恐。

有無憎愛よりも冷たい。

そんな人間と接触してしまう。

加速加速加速。

止まりはしない。加速する。

上がる上がる上がる。

戻ることはない上がり続ける。

変わる変わる変わる。

退化しない進化し続ける。

物語物語物語。

結末は一つしかない

ただ、自分ですすめることができる。いくらでも遅くできる。

人生は物語。

結末がいくつもある物語。



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