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断罪屋『裁島』  作者: 夕夜鶴
第一章『サバキサバキ~断罪屋と殺し屋』
4/11

第止回『考想1』

ヤキモチを超えたら嫉妬。嫉妬を超えたら殺意。殺意を超えたら殺人。殺人を超えたら地獄。地獄を超えたら地獄。


受け取り屋からの朗報を聞いてから、1日が経過した。

正直俺は寝起きは良くないので、布団の中にゴロゴロと居続ける。

そうやっているとやはり何かを考えてしまいたくなるものだ。

良く言えば自論作成。悪く言えばただの言い訳。

昔、変な奴がいた。

そいつはどこにもいそうで、そしていない。そんなやつだった。

そいつは、

『あなたにとって個性とはなんですか?』

と聞いてきたのだ。

この質問においての『個性』は、多分内面的なものを指しているのだろう。

外面、外見や面ではなく。

内面、内側や仮面を問いているのだろう。

そんなことは、例え考えたところで結末はない。

残酷な結末

滑稽な人生

貧弱な肉体

脆弱な精神

最悪な接触

それでしかない。

だが、それだからと言って考えない俺ではない。

『外面の個性』は、記号でしかない。

AをAと言うための記号。必要な素材。それでしかないのだ。

ただ、『内面の個性』ということにおいては、違う。

表面が石でも中身が泥というように、表面と内面は全く違う素材だ。

いや、同じ素材ではあるのだけれども、表面の素材は環境に合わせたものに変化していて、見ただけではわからない。といった感じかもしれない。

ただ、内面まで、中身まで表面のような都合のいいものにはならない。

きわめて変化しない。変形しない。

性格というのは不明確。本性というのは明確。

俺にとって個性というのは本心であると思う。

個性は変わらない物。

だから個性というのは本心だと思う。

まあ、そう言ってしまうと『外面の個性』というのは存在しなくなってしまうのだが。

「やっぱ・・・まだまだだな」

と、布団の中でぼそりとつぶやく。

実に起承転結がなく。実に固まっていない自論になってしまった。

「やっぱり、あいつの自論には敵わないな」

言わば、空想論に近い理論。

絵空事のような現実。

あいつの自論はそれほどまでに『強力』だった。

異質や罵詈雑言というわけではない。『強力』だった。

「人の精神を破壊するよな。やつの考えは」

実際、俺もそれのせいで大きく影響を受けた。

それのせいでたくさんの人間が死んだ。

それは無常で非常で通常で

虚像で実像で

実態の知れぬ、《概念破壊》の力だった。

《概念破壊》

《ソロ・エンド》のリーダーであるやつは。

人の秩序という固定概念をも破壊してしまった。

ある意味、そのおかげもあり、秩序はより強化され、被害は大きかったものの、世界をどん底に叩き落とした後、たたき起こした軍団として、世界を震撼させた。

結局、今も存在は分からず。

『影』でも話の肴としてよく働いてくれている。

「やつにもう一度会いたい」

やつは最後にまだ若かった俺にこう言った。

『偶然が重なったら・・・・いや、もう会わないだろう』

と言い残し消えた。

「わかんねーな」

太陽は西に傾いていた。



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