表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪屋『裁島』  作者: 夕夜鶴
第一章『サバキサバキ~断罪屋と殺し屋』
3/11

第二回『コロシコロサレ』

思いは止まない 雨は止まない 死は止まない


喫茶店から俺と《黒白殺し》は出て路地裏に行く。

「ンフフ」

殺し屋は歪に微笑んだ。

その形相はまるで魂を喰らう死神にも見えてきてしまう微笑だった。

身体が凍るような張りつめた空気。『対義を殺す程の実力者《有無家》』。

会うだけでそう言う風に言わしめられていることが感覚で器官で感触で雰囲気で分かってしまう。

異質だ。異様だ。奇怪だ。

戦闘は避けたい。

出来れば口で終わらせたい。

ただ俺の脳内はそう言う電気信号を打ち続けた。

「では・・・行きますよ」

そう言うと、憎愛はコートから『メス』をするりと取り出す。

そのメスは普通のメスとは違い黒く輝いている。

「安心してください《罪止まり》さん。これは私の相棒です。頚動脈を一気に裂いてあげますよ」

これは・・・・

死刑宣告に近い。

人生オワタというのはこういうことを言うのだろう。

うわ~最悪だ。

さっきあんなカッケーこと言ったのに・・・・

「では、参ります」

と、憎愛は言う。メスを前に構え、姿勢を低くする。

そしてその刹那、パアンと銃声のような音と共にこちらに走ってくる。

それは、まるで弾丸のようだった。いやそれ以上、風に見えた。

その風が、俺の前で止まり、メスを顔面に向けて突き出してくる。

それを、

《俺は右に避ける》

「!?」

憎愛は、驚愕の顔をする。

俺は、そんなこと関係なしとメスを突き出した右腕を左手でつかみ、間合いを一気に接近、右手でコートの襟を掴む。

そして右足で左足を絡め取る。

言わば大外刈りである。

「くっ!!」

憎愛はコンクリートの地面に叩きのめされる。

その後俺は思いっきりコンクリートの地面から無理やり憎愛を起こし、腕を離す。

勿論、若干の呼吸困難の憎愛は、倒れようとする。

そこで俺は素早く肘を下から突き上げるように立て、踏み込み放つ。

八極拳 裡門頂肘(りもんちょうちゅうという技である。

そのまま、憎愛は吹っ飛び壁にぶつかる。

だが、そこは有無家。倒れず立っている。

追撃するかしないか、正直迷った。

が、

「無理だな」

俺は倒すために戦っているためではないため、そのまま、路地裏から逃走する。

路地裏を抜け、人ごみに紛れる。

「こりゃあ・・・第二審確定だな」

そう思っていると、携帯が鳴る。

「ん?」

俺はポケットから携帯を取り出し番号を確認する。

「これは・・・・」

その番号は『受け取り屋』からだった。

俺は通話ボタンを押す。

「もしもし?」

「ヤッホーい!!おひさーしぶり!!裁ちゃん!!!!!」

相変わらずのやかましさである。

篠儀しのぎ 菜季なき通称『受け取り屋』

ある意味この受け取り屋のおかげで、俺の『目標』は決まる。

受け取り屋は情報屋でもあるため、そこから人を裁いていく。

人外を破り去っていく。

だが、俺の場合は策を巡らせるタイプだ。自分が最終的に戦闘に出るとしても、まさにトラップの巣窟となっている。

今回はだから全力じゃない。

そんな言い訳をしていると、受け取り屋の声が聞こえてくる。

「あ~朗報ぉー」

「ん?何だ?」

「有無有無が捕まったよ~」

「・・・・・」

これは・・・・・

何故か

不自然にも

絶対的に

必然的に

これから『何かが始まると感じた』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ