くろいこころ
心を潰したのは、私。
全てを愛していたころは、全てに惑わされていた。
耳をふさいだのは、私。
全てを聞いていたころは、全てにかき乱されていた。
でも、そのように教えたのは、君。
あの孤独に、あの闇に。
光燈したランプが一つ。
濡れた私の、瞳を照らした。
水面を掬ったのは、僕。
緑色の深い水底さえも、その透明さが暴き出してくれると信じていた。
そのように教えたのは僕。
あの深い黒に、あの闇に。
「誰も愛さなくていいんだ」
ねぇ、だから僕だけを見ていて。
貴女の心は消えてしまった。僕の愛も見出せないほど。
風に消された炎ひとつ。
貴女は、静かに目を閉じた。