表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

僕の初恋の味は

作者: 三毛猫

 やや(人によってはかなり?)、性的な表現ありです。ご注意下さい。内容がアレですのでどこからか苦情がでましたら丸ごと削除しますのであらかじめご了承下さい。

 初恋の味と言われて、何を思い浮かべるだろうか。

 多くの場合、初恋という言葉の前に付くのは「甘い」であったり、あるいは「甘酸っぱい」というような形容詞であることが多いと思う。

 でも、僕が僕自身の初恋を振り返ってみると、それは「(にが)い」ということになると思う。

 「つらくて苦しい」という意味での「苦い」ではなく、本当に、味覚的な意味での「苦い」だ。

 今でも僕は、初恋のあの子のテディベアのような黒いつぶらな瞳と、ちょっと怒っているようにも見えるやや突き出した唇と共に彼女の味を思い出すことが出来る。

 これは僕の、そんな初恋の思い出だ。




 小学校一年生の頃、僕のクラスではスカートめくりが流行っていた。

 それを誰が一番最初に始めたのかは覚えていない。ただ、いつの間にか男子連中の間では挨拶代わりに女子のスカートをめくることが当たり前になっていて、僕も当然のように女の子のスカートをめくっていた。

 同年代の女子の下着そのものには興味はなかったけれど、ひらひらするそれをめくると女子連中が「もう!」と頬を膨らませるのが面白くて、僕は度々女子のスカートをめくっていた。

 もちろん女の子だってスカートをめくられるのはあんまり嬉しい事じゃなかっただろうし、大人しくめくられるばかりでもなくて、たまにはこちらがスカートをめくる前にスカートの前後を押さえてガードしたりする。

 だんだんと、男子は女子のスカートをうまくめくれたら「勝ち」、女子はめくられずにガードできたら「勝ち」というようなゲームというかレクリエーションのようになっていた。


 下着そのものには興味はあまりなかったけれど、やっぱりスカートをめくりたい女の子というものには好みがあった。ちょっとかわいいなと思う子だったり、スカートをめくった時の反応がおもしろい子だったりを集中的に狙うようになっていて、僕がちょっと気になっていたあの子は、スカートをめくられるとちょっと頬をふくらませて「もー、えっちー」と笑う女の子だった。あの子は、口では「えっちー」と言うくせに、スカートを押さえることはせずいつもめくられれるがままだった。

 かわいいな、とちょっと気になっている子だったからか、それとも彼女がスカートを押さえようとしないから気になったのかはよく覚えていない。ともかく僕はよくその子のことを考えるようになっていて、その子のスカートをめくることばかり考えるようになっていた。


 その日、僕はジャングルジムの下から二段目に仰向けになって転がっていた。別の遊具のおかげでジャングルジムは丁度いい陰になっていて、お昼寝にちょうどよかったのだ。半分目をつむって涼んでいると、ひとつ上の段に、あの子がやってきて、僕と同じように横になった。下から手を伸ばしてあの子の背中やわき腹のあたりをつっつくと、いやいやと体をくねらせるのがおもしろくて、僕は何度も彼女をつついた。

「もー、くすぐったいじゃない」

 彼女はちょっと口をとがらせて、うつぶせになって僕の方に向き直った。彼女の髪が垂れてきて、僕の鼻の先をくすぐった。間近で見つめ合うと、少し胸がドキドキした。そっと彼女の髪に手を伸ばして触れると、細い髪は自分のそれとは手触りが全然違って、ああ、女の子なんだなぁと思った。

「ねえ、」彼女を見つめながら僕は言った。「すきな子とか、いる?」

 僕の問いに、彼女は「んー?」と小さく首を傾げて答えなかった。

「じゃあさ、ぼくのこと、すき?」

 それが卑怯な問いかけであることは自覚していた。自分の気持ちを伝えることなく相手の気持ちを知ろうとするというのは、自分が傷付かないようにするための防衛策だ。自分がたぶん、目の前の少女に嫌われてはいない、という根拠の無い自信のようなものはあったけれど、それでも自分から気持ちを伝えようとは思っていなかった。

「えーっと、ね」彼女は困ったように唇を突き出して何度か首を傾げてから、「みすみくんがすき」と人差し指を口にあてて言った。三隅君は同じクラスの運動の出来るちょっと格好いい男の子だ。僕のことではない。

「……ぼくのことは、きらい?」

 がっかりしながらもういちど尋ねると、彼女は僕の顔をじーっと見て、「あのくんのことは、にばんめにすき」と言った。

 二番目でも、好きと言われて僕はうれしかった。舞い上がってしまったといってもいい。だから、何でそんなことを言ってしまったのかよくわからないのだけれど、そこで僕はとんでもないことを言ってしまった。

「ぼくのことすきなら、おねがいがあるんだけど……」

「なあに? いってみて」

「……ぱんつのなか、みせて?」

 言ってしまってから、言わなければよかったと思った。何で言っちゃったんだろう、って思った。嫌われる、と思った。せっかく好きって言ってもらえたのに、なんてことを言っちゃったんだろうって思った。同級生の下着自体には興味はなくても、ぱんつの中身には興味があった。だから、つい、言ってしまったのだろうか。

 彼女は、テディベアのようなつぶらな瞳をまんまるにして、口を「え」の形にしたまま、じっと僕の顔を見つめていた。

 沈黙に耐え切れなくなった僕が、冗談だよ、とごまかそうとした瞬間、「いいよ」と彼女は言った。「がっこうおわったら、ね」そう言って、彼女はジャングルジムからもぞもぞと這い出して、教室の方に走り去った。



 僕たちは通学バスで学校まで通っていて、通学バスの待合場所は体育館の裏手にあった。

 放課後、バスの待合所に向かいながら、僕はあの子に「ほんとに?」と何度も確認した。

 彼女は「いいっていったでしょ」と言って、僕の手を引いてずんずんと歩いていく。

 体育館の裏には、ステージに裏手から入れるように外付けの小さな階段と吹きさらしの通路があって、その通路にはパイプ椅子だったり何かよくわからない大道具だったりがあちこちにおいてあった。

 彼女は大道具の隙間に体を押し込んで、「ここならバスきたらわかるから」と言った。

 僕は「うん」とうなずいて、彼女の前にしゃがみこんだまま、どうしたものかと思っていた。

 何をすればいいのかと迷っている僕に、「ぱんつのなか、みるんでしょ?」と言ってあの子は自分のスカートの前を持ち上げてみせた。真っ白なぱんつが目の前にさらされて、今まで同級生の下着なんてお子様で面白くもなんともないと思っていたはずなのに、僕はすごくどきどきした。

「みないの?」とスカートの裾をもちあげたまま彼女が言った。

 唾を飲み込んで、彼女のぱんつに手をかけようとしたら、「なにしてんのー?」と誰かに声をかけられて心臓が止まりかけた。声の方を見ると同じクラスの男子が数人、少し離れた所から、スカートを自分でめくり上げている彼女のことをちらちらと伺っていた。

 僕は少し迷って、「ぱんつのなか、みせてもらう」と言った。しゃがんだまま見上げると、彼女はちょっと困ったような顔をして唇をつきだした。

「みていい?」言いながら男子連中が寄ってきた。

 どうしよう?と彼女をみつめると、口をとがらせたまま小さくうなうなずいたので、僕も男子連中にうなずいて見せた。

 にやにやしながら寄ってきた男子数人で彼女の周りを囲んでしゃがみこんだ。

「じゃ、ぬがすね?」

 そっと彼女の下着に手をかけて、少しづつ下の方にずらす。彼女の白いおなかには、ぱんつのゴムの跡が赤い線になっていた。

「……ねぇ、ちょっとづつしないで」

 見上げると、恥ずかしそうに彼女が口をとがらせていた。だから僕は、彼女のぱんつを一気に足首までずり下ろした。僕には妹がいるので女の子のそこがどうなっているのかは知っていたけれど、好きな女の子のそこを間近で見るというのは、口では言い表せないほど興奮する出来事だった。男の子と違って何もついていない。ただの線にしか見えないそれに、どうしてここまで心惹かれるのかがよくわからなかった。そっと彼女の大腿の間に右手を差し込むと、彼女が少しだけ足を開いたので、僕は昂ぶる気持ちをどう解消したらよいのかわからず、ただ不器用にすべすべとした彼女の太股をなでまわした。

 それは動物的な本能だったのか、あるいは胃がずんと重くなるような、何かをしなければという強迫観念のようなものにとらわれていたせいなのか。

 頭の中が真っ白になった僕は、何を考えたのか「かんちょー!」と叫びながら彼女の奥の、一番深い部分に大腿の間に入れた右手を突き入れた。びくんと彼女の体が震え、「ばか!」と頭を殴られた。たぶん僕の爪がよくないところに当たったのだろう。突き入れた右手が彼女のおしりの穴とは別の場所に当たったことはわかっていたけれど、僕は彼女の大腿の間から引っ込ぬいた右手のにおいをかぐふりをして、「くっさー」と言った。男子連中が、声を上げて笑った。

 すると、彼女が口をとがらせてスカートを握る手を下ろしてしまったので、僕は自分の手で彼女のスカートをめくり上げて中に潜り込んだ。彼女の白い下腹部に頬を寄せて、謝るようにそっと右脚の付け根を舐めた。

 やや汗ばんだ彼女のそこは、少し苦かった。ぺろぺろと何度も舐めたら、また「ばか」と頭を殴られた。



 次の日学校であの子に、話がある、と廊下に連れ出された。

「あのね、きのうのことなんだけどね……」彼女はそう言って小さく口をとがらせた。

「あのくんだから、いいっていったんだよ? だからね、あのね、おとこのこ、いっぱいでっていうのは、やっぱり、ちがうとおもうの」

 僕は内心では、あのときイヤって言わなかったじゃないかと不満に思ったけれど、確かに悪いと思ったので素直に「ごめん」と謝った。

「あとね、かんちょーいたいから、もうしないで?」

 本当に、自分でもなんであんなことをしてしまったのかわからなかったから、僕はもう一度「ごめん」と謝った。

「ぼくのこと、きらいになった?」と聞いたら、彼女は「すこし」とうなずいた。


 ――その日から、僕はスカートめくりをやめた。




 それからしばらくして、僕のクラスでは女子はスカートの下にブルマを穿くようになった。それまでは「むわっとするし、蒸れるからからイヤ」ってほとんどの女子は体育の時しか穿こうとしなかったのに、学校にいる間はいつもブルマをつけるようになっていた。

 それはもしかしたら僕のあの一件があったせいなのかもしれないけれど、女子がブルマを穿くようになったら、僕のクラスではスカートをめくるだけじゃなくて、ブルマを脱がそうとするようになっていた。運が悪いと、というかそれともそちらがメインなのかはよくわからないけれど、当然のようにブルマを引きずり下ろそうとすれば大抵の場合はそれに伴ってぱんつのほうも一緒にずり下がってしまうもので、白いおしりをさらされる女子が続出した。

 ずり下ろす、という点でいうならば女子に限らず男子にだってズボンというものがあるので、女子連中も対抗手段として男子の半ズボンをずり下ろすようになっていった。スカートを穿いている女子とは違って、男子の場合はズボンをずらされたらほぼ確実におしりをさらしてしまう。

 もうどうなったら「勝ち」で、どうなったら「負け」なのかさっぱりわからなかった。

 僕はあの一件以来、女子のスカートをめくらなくなっていたけれど、女子連中には何度か半ズボンをずり下ろされた。

 ……一度だけ、あの子にもズボンをずりおろされた。

「わたしの見たんだから、わたしも見ていいよね?」

 耳元で囁いて、彼女は僕のおしりをぱちーんと平手で叩いた。

 すごく恥ずかしかったけれど、前の方だけは何とか死守することが出来た。

「じゃ、こんどまた見せてくれる?」

 僕がズボンを上げながら聞いたら、彼女は「ばーか、あのくんのえっちー」と小さく笑ってまた僕のおしりをぱちーんと叩いた。




 彼女とはその後も普通に友達として仲良くしていたけれど、二年生に上がって別のクラスになったら、それきり疎遠になってしまった。

 四年生の時にまた同じクラスになったけれど、彼女はあの時のことなどまったく覚えていないようだった。

 五年生に上がるときに、僕は親の仕事の都合で引っ越してしまったので、彼女のその後の事は知らない。




 初恋と言われて思い出すのは、そんな彼女のテディベアのような黒いつぶらな瞳と、ちょっと怒っているようにも見えるやや突き出した小さな唇と、そしてあの時感じた彼女の肌の苦味。

 これが僕の、初恋の話。


 以前texpoにて公開していたものに加筆修正を行ったものです。

 「初恋」をテーマに書かれました。

 ……どこが初恋なんじゃー、っていうかむしろ「淡い性の目覚め」みたいな感じですが、恋を語る上で性というものは微妙に外せない要素だとも思うのです。

 愛はきっとまた別の話、なのでしょうけれど。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ