あの男が忘れられない
あれから何年たったのだろうか・・・・ 今でもあの時のことは忘れないし忘れてはいけないような気がする そう高橋のことだ あれは高校1年の11月、秋が終わりかけ寒暖日が交互にくるような季節だった。
なつかしい冬の匂いが漂い、そうだあの日は雨が降ってたっけ ============
「よう」
振り向くと男が立っていた名前が出てこない
「国語の宿題やったか」
どうやら同じクラスのようだ。
「いややってない」
と答えたと同時に名前を思い出した。(ああ高橋か・・・)すると高橋は
「そうか・・・・」
と言い自分の机に歩いて行った そして机に着くと俺の方を向き苦笑いをした。
(なんだ、今俺はばかにされたのか)と思いなんだか嫌な気になった。
高橋は普段ほとんど口を聞かない男だった。
身長がやけに高く笑顔を見たものは死ぬと噂になるほど無愛想だった。
それまで話などしたことがなかったし、ましてや宿題の話などなぜ俺にするのか分からなかった。
休み時間が終わり国語の教師が教室に入って来た。
俺は高橋のことが気になり黒板を見ないで高橋を見ていた。
俺は過去に高橋になにか悪いことでもしたのではなかろうか、さっきのはそれの復讐だったのではないのか、いやもしかしたら彼はとんでもない悪人で、さっきの会話は全くのフェイク、そのすきになにか盗まれたのではないか、と想像力を最大限使い考えたがどれも確信は持てなかったそうしてるうちに、時計を見ると授業時間もあと半分程になっていた、時計から視線を高橋に移したその瞬間、俺は目を疑った。
高橋が手を挙げているではないか、クラス中の時が一瞬止まっていた。先生が
「高橋君なんか質問ですか」
と言うと高橋は
「便所に行きます」
と言い残し教室を出た。
それ以来高橋は二度この教室には戻って来なかった 一週間くらいいろんな噂が飛び回ったがどれも作り話ばかりだったし、しばらくすると皆高橋の話はしなくなった。
============今でも何人かの先生と高橋の家族は捜していると聞いた。
俺は学校の近くの公園のベンチに座りそんなことを思い出していた。
俺の前をダンボールを両脇に抱えている男が通っていった。
髪はぼさぼさでヒゲも整ってなく修行僧のような服装をしている。
あまり関わらない方がいいと思い吸っていた煙草消すため地面にこすりつけようと頭を下げた。
修行僧は男を見て苦笑いをしそれから公園の公衆便所に吸い込まれるように入っていった。