第七話 そのメイド、殺意にて
――――そして現在に戻り……――――
初めての出会いから数年経ち。
紹介された当時、ヴァイオレットは内心で「お前かー!」と思わず叫んだ。
目の前の男がリディアムだと知った瞬間、ヴァイオレットは反射的に殺そうかと考えた。
それだけではない。
出会ってからこれまで、何度も暗殺しかけた。
なぜならこの男。原作では実の兄であるアシュレイに嫉妬し、兄だけではなく婚約者であるミリアリアにまで手を出そうとするクズ野郎だったからだ。
実際にアシュレイとミリアリアが会う度、この男も毎回ついてくるのだ。
なので推しカプである二人の安寧のためにも、早々に殺して退場させようと考えたのである。
しかし同時に思うのだ。下手に殺して心優しい推しカプが悲しむ姿を見るのも……ましてや、それがきっかけで婚約が破棄になってしまったら元も子もない。
だから何度も衝動的に殺しそうになっても、殺すのは脳内だけで耐えていたのだ。
……なのに何故だろう、この男はヴァイオレットに告白をしてきたのだ。意味がわからない。
そして当の本人であるヴァイオレットは、どう断ろうかと考えている。
普段のヴァイオレットなら「お断りします」の一言で両断するところだ。
だがヴァイオレットがあえてそれをしないのは、断ったことで推しカプに何か危害がおよぼされるのではないかと危惧してるからだ。
正直、何度も殺したいし殺そうとした相手だ。その時点で脈はない。
ヴァイオレットは何度もため息をつきながは考える。
(いっそうのこと、今この場で殺すか? いや、真昼間に堂々と殺すのはダメだ。それならやはり、真夜中に屋敷に忍び込んで暗殺に限るか……?)
そんな物騒なことを考えていると、ノック音が聞こえた。
「リディ、そろそろ帰るぞ」
「あら? ヴィタも一緒だったのね」
ノック音の主は、推しカプであるアシュレイとミリアリアだった。
「はい、兄上」
そう言ってアシュレイの元へ向かうリディアムは、ヴァイオレットに小さく耳打ちする。
「返事はまた今度聞かせてくれ……」
そう言ってリディアムは、アシュレイと共に部屋を去っていった。
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