第四話 そのメイド、努力にて
結論から言うと、ヴァイオレットは『グリジッド公爵家の使用人』になった。
その経緯を、かいつまんで話そう。
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小説の中では、孤児院が盗賊に襲われたところをグリジッド公爵家に救われたことで、使用人として引き取られるのだ。
しかし困ったことに……その孤児院を襲うはずだった盗賊を、ヴァイオレットは一人で返り討ちにしてしまったのだ。
そう、先日の盗賊たちである。
物語を変えてしまったという事実にショックを受けたヴァイオレットは数日寝込んだ。
だが逆にそれが良かったのだろう。
たまたま孤児院に視察でやってきたグリジッド公爵家の心優しい令嬢に、ヴァイオレットは引き取られたのだ。
その令嬢こそ、ミリアリアその人だ。
その事実に気づいた時、ヴァイオレットは顔には出さなかった。が、推しカプの一人……ヒロインであるミリアリアの幼少期を見ることができた。
ヲタクたちならわかるだろう、この気持ち。『推しが尊すぎて死にかけた』と。
正直、ヴァイオレット自身もその時点で死んでも良かったと思った。
しかしせっかく救ってもらったこの命、無駄にするわけにはいかない。
「差し出がましいお願いであることは、重々承知しております。恩返しのためにも、どうか……私を、お屋敷で雇ってはもらえないでしょうか?」
ヴァイオレットは幼い子どもの容姿を盾に、公爵夫婦とミリアリアにそう頼み込んだ。
答えはあっさりだった。
「もちろんよ!」
こうしてヴァイオレットは、グリジッド公爵家の使用人になったのだ。
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正式に使用人になったヴァイオレットは、推し活……いや、恩を返すために一生懸命働いた。
最初こそ、失敗も多かった。
だが公爵家の人々同様、使用人たちも心優しく、ヴァイオレットの成長を見守ってくれた。
そうやって気づけば歳が近いということもあり、信頼の元ミリアリア専属のメイドへと上りつめていったのだ。
もちろん、この流れは原作通りではある。しかし原作と違うのは、ヴァイオレットが努力し、皆の信頼を得た上での指名ということだ。
指名された日、ヴァイオレットは初めて思った。
「神は実在するのだ」と。
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