第十二話 そのメイド、条件にて 〜その①〜
「それではリディアム様。お付き合い(仮)するにあたり、色々と条件を決めましょう」
「うむ、わかった!」
元気よく返事をするリディアムに、若干引き気味ながらもヴァイオレットは淡々と話す。
「まずは『料理』についてです」
「『料理』……?」
「そうです。これからの人生、リディアム様もずっと貴族の子息としていられるか分かりません。将来のことも考え、互いに『料理』が出来ることに超したことはありません」
「しょ、将来……!」
突然、目を輝かせはじめるリディアム。
「そ、そうか……口ではああは言いつつも、しっかりと俺との将来について真剣に考えているのだな……さすがは俺のヴァイオレットだ!」
ブツブツと独り言のようにリディアムが何を言っているが、ヴァイオレットは気にせず話を続ける。
「そういうわけで、今からお互いになにか『料理』を作ってみましょう」
「なるほど! それで炊事場に来たのだな!」
そう。二人が今いるのは、グリジッド公爵家の炊事場である。
「というわけで料理長、少しお借りしても?」
「別に構いやしないが……頼むから、俺の大事な聖域を汚すんじゃねぇーぞ」
「もちろん、わかってます」
コックコートを来たガタイのいい男は料理長と呼ばれ、どこか心配そうに二人を見る。
「仮になにかを破壊したとしても……綺麗に直してみせます!」
「そもそも壊すんじゃねぇーよ!」
「それではリディアム様、始めましょうか」
「おう!」
「聞けよ! おい、ヴァイオレット!」
料理長の叫び声は、悲しくも誰の耳には入らなかったのだった。
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