7 隠し部屋
爆弾人間に関する本、ないかな……。
爆弾人間は闇魔法のせいだと確信している。
闇魔法は、伝説でも御伽話でもない。
一度見たことがある。
昔期待に胸を膨らませ、世界の一角へと歩を進めていた国があった。
だがその希望を叶える直前で、国そのものが、滅亡へと沈んでしまった。
その原因は闇魔法なのだ、と。
闇魔法の本は前世でもそれに関する本は一度だけ、どこかで目にしたくらいだ。
どこで目にしたかは覚えていない。
みんな、私のせいで処刑された。
私がいたから……?
私のせい。
もう一度あんな悲劇は起こしたくない。
なんとしてでも阻止する。
本、見つけなきゃ。
ここは歴史のある公爵家。
絶対にある。
私は一時間近く、図書室を歩き回った。
爆弾人間について書かれているものはない。
前世で読んでおけばよかった。
前世では家を継ぐのはお兄様だから勉強じゃなくて作法しか学ばなかったのよね。
ああ、しておけばよかった。
後悔しても遅い。
けれど与えられたチャンスを無駄にはしない。
家族を助けるためには爆弾人間についての情報を見つけないと。
少しでもいいから……!
ない。
ここにもない。
ここにも……。嘘、でしょ?
本当にない。
こんなに広いのに!
焦燥を覚えたそのとき、隅の壁に違和感を覚えた。
そこだけ本棚がなかった。
光をかたどるように彫られた印が、突然目に留まったのだ。
「こんな模様、あったっけ…誰かが掘ったのかな?でも、どこかで見た気が…」
指先で触れると、その印がかすかに光り、瞬く間に手が壁を貫き、私は中に引き込まれた。
「!?」
次に目にしたのは、部屋だった。
外側からはただの壁にしか見えなかった場所は、魔法によって隠されていたのだ。
中には驚くほどの書物が所狭しと並んでいる。
まるで皇宮の奥深くで厳重に保管されていそうな魔法書の数々。
視線を巡らせると、ひときわ目立つ一冊の薄い冊子が、埃を被りながらもひっそりと置かれていた。
長い年月、人の手に触れられた形跡もなく、忘れられたように在るその冊子をそっと手に取り、埃を払って文字を追う。
知らない言葉なのに、不思議と頭に入ってくる。
“やみまほう……”
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