2 再会
リズリーの誕生日会がやってきた。
「リ、リズリー様!お招きありがとうございます!それにしてもお美しいですわ!」
「え、ええ!さすがリズリー伯爵令嬢だわ」
「うふふっ!皆様、ありがとうございますわ」
みんなリズリーを取り囲む。
私はそれを、影から見つめている。
楽しそうにしている人々に背を向け、寒い廊下を歩いて行った。
いいなあ。
頭に浮かんだことはそれだけだった。
その時、私は誰かにぶつかった。
「!も、申し訳、ございません。前を向いていなくて……」
誰?
男の人、怖い。
「大丈夫かい?」
懐かしい声。
その人はしゃがみ込み、私を見つめる。
「は、い大丈夫です」
私は顔を上げる。
その男の人は、私と同じ、金髪。
宝石のような緑の目。
その瞬間、彼は持っていた招待状を落とした。
「レ、ティシア?」
その人の懐かしい声は震えている。
「レティシアなのか?」
「何故、私の名前を?」
彼は悲しそうな顔をした。
その瞬間、心を凍らせていた何かが溶けたような気がした。
なんで、私は忘れていたんだろう。
あんなに幸せだった時間を。
「おと、さま、なの?」
お父様は慌てている。
「ああ、そうだよ。レティシア」
涙が溢れる。
「ごめんな。今まで1人にさせて。辛かっただろう」
お父様の手が私に伸びる。
びくりと体が震える。
お父様は傷ついたような悲しそうな複雑な表情を見せ、手を引っ込めた。
あ、違う。怖くないのに、体が言うことを聞かない。
「レティシア、家に帰ろう。もう心配することはないよ」
お父様の声は優しい。
その言葉を聞き、私はお父様に抱きつく。
「うん。お家に、帰る」
その時リアナがちょうど食事を運び終え、会場から出るところだった。
「レティシア!って公爵様!?申し訳ございませんっ。ご迷惑をおかけしました」
「リアナも、連れて行ってもいい?」
リアナは顔を真っ青にして
「レティシア!公爵様にそんなタメ口……」
といった。
「大丈夫だ。それよりリアナといったか。レティシアと一緒に公爵家へ来てくれないか?」
「公爵家、ですか?」
リアナは訳がわからない様子で、お父様を見る。
お父様はリアナに全てを話した。
私が5歳の時攫われ、ここにきたということを。
リアナはポカンとして、それから我にかえったように、私に頭を下げてきた。
「嘘、、申し訳ありません!レティシア様。公爵令嬢とも知らずに……」
「リっ、リアナは悪くないよ!」
まだ謝りたそうなリアナを止め、お父様の方を向く。
「リアナ、君は荷物を準備して門のところに来なさい。レティシアはついてきて」
「はっはい!ありがとうございますっ!」
リアナは走って行った。
こうして私は奴隷のような使用人から公爵令嬢となったのだ——。
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