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1 レティシア

薄暗く寒い部屋で幼い1人の女の子が無心に床を磨いていた。


汚れた服に金色の髪はくすみ、青い目は暗く、灰色に包まれていた。

その子の名前はレティシア。



 バシャッ!!


「っ!」


私に冷たい水を浴びせたのはグレイ伯爵。


その隣で笑っているのは同い年の赤い髪にオレンジの瞳のリズリー伯爵令嬢。


瞳の中には、悪意の色が浮かんでいた。


「ぷっ!あははっ!大丈夫?頑張って。さあ、お返事は?」


楽しそうにこちらを見下ろす。


「リ、リズリー様、お気遣い頂き、あ、ありがとうございます」


私は寒さと恐怖に震える。


「汚い水をかけられて跪く姿、とーってもお似合いよ。さすが卑しい平民ね」


「ふんっ!いこう。リズ」


「ええお父様。それとあの汚い水で靴が汚れてしまいましたわ」

「それはかわいそうに。父が新しいのを買ってあげよう」


私を笑いながら、彼女たちは出ていった。

そして薄暗い闇が私を襲う。


誰か、誰か助けて。もう嫌だよ。


綺麗な庭に、たくさんの薔薇。


『——シア!レティシア!』

『レティみて!綺麗だよ。』


いつも見る夢。


私の名前。


誰だろう。

凄く懐かしい。

思わず目を開ける。


でもそこは屋根裏の冷たい床の上だった。

旦那様に怒られる。


早く行かなきゃ。


下が騒がしい。


今日はリズリー様の誕生日会だったっけ。


その時、下から私を呼ぶ声が聞こえた。


「おいガキっ!降りてこい」

「っ……はい」

「リズの誕生日会は絶対目立つんじゃないぞ」


そう警告された。



今年はどんなパーティーなのかな。


あ!

ご飯、食べに行かなきゃ。


私は急いで食堂へ行った。


伯爵様は一日に一回ご飯をくれる。

だが、それを見かねた使用人のリアナがいつもこっそりご飯をくれる。


とても優しい人だ。


「リアナ!」

「レティシアおはよう!はいどうぞ。いっぱい食べて」



ニコリとわらう私をえ、リアナは思った。


何故、こんな小さい子供がこんな仕打ちを受けなければならないの?


神様。

早くこの子を、この子を大切にしてくれる人のところへ導いてあげてください。

リアナはそう、神に願う。


「ご馳走様でした。リアナ、いつもごめんね」


こんなことで謝られるなんて……。


「いいのよ」


リアナは、満足そうに微笑む私に、そういうしかなかった。

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