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23 平和な世界

 人類の大半が死滅して。

 生き残った者達は新たな日々を始めねばならなくなった。



 とりあえず、今残ってる文明は大事にしつつ。

 これをどうにか保てるように努めていく事になる。

 発展など今の段階では望めない。

 ただ、衰退しないよう今の状態を出来るだけ保つ。

 そうして次世代につなげる。

 それが生き残りに出来る事だった。



 全ては便利な生活を守るためである。

 文明のない世界は、生き残る事すら難しい過酷な世の中だ。

 大自然とはそれほどまでに生命体に厳しい。

 その中で生き残るために、人々は科学を発展させ文明を築き上げてきたのだ。

 これを捨てるなんて自殺行為である。



 少し想像して欲しい。

 パンツすら身につけない裸になって。

 山や森の中に入って生きていけるだろうか?

 自然の中で生きていくとは、これを実際にやる事になる。

 こんな事、現代人には不可能だろう。

 キャンプなどの野外活動が好きな人間を除いて。



 だから生き残り達は文明を少しでも保つために動いていった。

 おまんま食っていくためである。

 これくらい通俗的で現実的な理由が文明維持に人を突き動かしていく。

 人類の英知を守るため……そんな高尚な理由では無い。




 これを何とかこなしつつ。

 人々は次世代を生み出し、育てていく。

 出産が可能な年代の者達は、日々の仕事の合間に命を生み出していこうとした。

 ただ、これが多少難航していく。



 霊気はいまだに世界を覆っている。

 資格や条件を備えてない者は、これに触れれば死んでいく。

 赤児とて例外ではない。

 生まれて霊気に触れた赤児は、その瞬間に生死の選別が始まる。

 そして、24時間後に決断が下される。



 生き残りの子供達とて、全員が生き残れるわけではない。

 親と同等の条件を持ってなければ死んでいく。

 おかげで出産直後の新生児死亡率は50パーセントほどになっている。

 これが人口増加の足枷になっている。



 こればかりは仕方が無い。

 ロクでもない奴が生まれてきたら、以前と同じ事を繰り返してしまう。

 そうならないように、居てはいけない奴を処分する。

 当然のことだ。

 生き残ってる者達はこれを受け入れている。

 我が子を失うのは悲しい…………とも思わない。

 事前にろくでなしを育てずに済んだ事を喜んでいる。



「あんなのを俺の手で育てるなんて」

「あんのを生んだなんて」

 生まれてすぐに死んだ我が子というより、自分たちからかつての忌まわしい存在が生まれた事。

 それが即座に潰えた事。

 余計な事をせずに済んだ喜びの方が大きい。



 かつて自分を虐げていた連中。

 それは毒親であり。

 学校犯罪者であり。

 ブラック企業の上司や同僚や部下であったり。

 近隣にいた人間のクズ共。

 これらと同じ性質をもった者が我が子として生まれる。

 それを育てるのは苦痛でしかない。



「早いうちに分かってよかった」

 死んだ子供を見る親は安心する。

 かつて自分たちを虐げてた者達と同類。

 それを自分たちで育てる危険や苦痛から逃れられたのだから。



 人間の性質や正確は育つまで分からない。

 なので、普通にしてたら、数年間ほど時間を無駄にする。

 その間の養育費や世話の手間なども含めた。

 他にまわせる予算を削ってしまう。

 この無駄は果てしなく大きい。



 それを生まれた直後に判断出来るのだ。

 こんなありがたい事はない。

 また新しい子供を生む余裕が出来る。



 子供はかわいい。

 だから産み育てたい。

 だが、クズはいらない。

 それは人間ではない。

 同類に扱ってはいけない。



 ゴミと言っても良いだろう。

 ゴミは後生大事にするものではない。

 さっさと捨てて処分するものだ。

 人間も同じだ。

 危害を加えるクズはさっさと処分するに限る。

 そうすれば平穏を保つ事が出来る。

 最善の状態ともいう。



 犯罪の取り締まりがそうだ。

 もし人間は皆同じ、扱いを同じにしなくてはならないというなら、こんな選り分けは必要ない。

 どんな悪事を行っても放置していれば良い。

 それをわざわざ捕まえて刑務所に閉じ込める。

 場合によっては殺す。

 こんな扱いの違いが出てくるわけがない。



 危険物は処分する。

 当たり前の対応だ。

 それを生まれた瞬間にやってるだけである。



 それにだ。

 ゴミを混ぜたら他のものまで駄目になる。

 これは生ゴミについては、という事になるだろうが。

 料理と生ごみ、混ぜたらどうなるか?

 それは食えるのだろうか?

 おそらく、食べられるものにはならないだろう。

 だから生ごみと料理は分けて扱う。

 一緒にするような事は、よほどの事がなければしない。

 普通ならば。



 一緒には出来ないものを分ける。

 それが今の世界では当たり前のように行われていた。

 だから平和は保たれていた。

 問題を起こす者がいないのだから当然だ。



 ただ、人の急激な増加もない。

 一組の夫婦から生まれて育つ人間が2人から3人くらいで落ち着いているからだ。

 生き残りの人口は減少もしないが急激な増加もない。

 ゆるやかな上昇に留まる。

 文明を衰退させずに保つのに必要な人数は、常にギリギリだった。

 これは受け入れるしかない問題だった。



 解決は世代を重ねるのを待つしかない。

 少しずつだが人口は増えている。

 親の世代より多い子供達が順調に夫婦になって子供をもうければ、人口は更に増える。

 これを繰り返していくしかない。



 ただ、世の中全体の雰囲気は悪いものではない。

 無駄な騒動や衝突がない。

 問題をおこす人間がいない。

 足の引っ張り合いがない。

 何かを強奪される事もない。

 まとめて一言であらわすなら次のようになるだろう。

 ズルがない。



 誰かから何かを奪う。

 それが頭を使っての騙しなのか。

 暴力を使っての乱暴なのか。

 誰もいない間に奪う盗みなのか。

 方法はともかく、既にあるものを奪うというのは共通してるだろう。

 これらが今の世の中では発生しない。

 なので、円滑に事が進んでいく。



 ズルがあるとどうしても警戒が必要になる。

 対策が必要になる。

 この対策に時間や労力を使わねばならなくなる。

 この面倒がない、手間が無い。

 その分、もっと別の部分に、生産的な事に資源を費やす事が出来る。

 人や物や時をだ。



 経費を下げるとも言えるだろう。

 たんなる金銭だけに留まらない。

 労力や時間などなど。

 有形無形の様々な手間を減らす事が出来る。

 これにより、以前よりもはるかに作�らいない。

 気分を損ねたり悪くする事がない。

 これだけでも大きな利益だ。

 気持ちや心が沈めば、それだけ作業効率が落ちる。

 これが無いだけで、人は最善の効率を出せるようになる。



「前より良いよ」

 かつてを知るもの達は口々に言う。

 全てが良いというわけではない。

 だが、負担は以前より減った。

 それだけでも生きやすくなった。



 そんな世の中が少しでも続くように。

 今を生きてる者達は願う。

 世界を覆う霊気、それを放ってる存在に。



 かつて少年だった者は特に熱心に願う。

 手を合わせて、今のような日々が続くように。

 毒親や学校犯罪などから解放され。

 大人になって配偶者にも恵まれて。

 子供を持つ親になり。

 平和な日々をおくってる。

 幸せと言って良い。



 そんな幸せがこれからも続くように。

 生まれて育つ事が出来た我が子も幸せであるように。

 子々孫々にいたるまで、日々を憂う事無く生きていけるように。

 ただ生きるだけではなく。

 快活に活動が出来るように、活躍とまではいかなくてもだ。

 活気と活力に満ちた生き方が出来るように。



 何よりも、よりよき人々に恵まれるように。

 人が大量に死んでいった後の元少年のように。

 周りの人間が大量に死んでから出会った人々。

 それらとの出会いは少年に多くの幸せと福を与えてくれた。

 我が子もその子孫も同じように良き隣人に恵まれるように。



 そう願いながら元少年は今日を生きていく。

 いずれ迎える寿命がやってくるその日まで。

 生きる事が楽しいと思いながら。

 かつてはこんな事考えもしなかった。

 それだけ変わった日々が今はありがたかった。



 ここにいる、共に歩んでくれる者達。

 そんな彼らと歩んでいく、これからも。

 今、生きてる者達と。

 そして。



 今もって正体も分からない。

 だが、少年達に救いを与えてくれた存在と。

 霊気を放ち、今も邪悪な存在を消してくれるものと。



 それが何であろうと構わない。

 邪神や悪霊、怨霊の類であっても。

 救いを与えてくれたのは、霊気を放ってる者なのだから。

 それはどんな善良で道義的に正しい存在よりも、少年達にとってありがたい者だった。



 それとならば共にいられる。

 これからもずっと。

「ありがとう」

 感謝の言葉を口にする。

 夢の中でしか出会った事のない者に。



 それが届いたかどうかは分からない。

 だが、感謝の言葉に応えるように、穏やかな風が少年の頬を撫でた。



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 なんとか書き上げたけど、どうだろう?

 書きたいものをとにかく書いてみた

 書きたい事をとにかく詰め込んだ

 そんな話なんだが


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