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2 遮るものを取り除き

 夜の町は昼間と違って静かだった。

 物音一つない、というのだろうか。

 昼間はナニかしら様々な音が流れてる。

 付けっぱなしのテレビに、そこらを走る車など。

 それらが聞こえない雑音となって響いている。

 今、それが無い。



 そんな中で少年はするべき事をしていく。

 町のあちこちにある鎮めの効果のあるもの。

 それとなく設置されてきた、心霊的な結界。

 その基となるものを取り除いていく。



 といってもそう大がかりなものではない。

 町のいたる所にある社や祠。

 小さなこれらのご神体などを少しずらすだけ。

 それだけで結界の効果は無くなる。

 これらは設置されてる位置が重要で、それが少し外れるだけで効果を失っていく。



 それを少年はやっていく。

 どこにあるのかは分かってる。

 意識だけの時に触れた存在から教えてもらった。

 あとは現地に出向いて、邪魔になるものを取り除いていくだけ。



 さすがに一晩で全てを巡る事は出来ない。

 だが、今は夏休み。

 時間はいくらでもある。

 夜をまってあちこちの封印を解けばよい。

 巡らねばならない範囲は広いが、自転車であればさほど問題は無い。。



 それに、既に壊れてる封印もある。

 戦争中の空襲で破壊されたものが多々ある。

 その後の高度成長期に破壊されたものもある。

 経済発展を理由に団塊の世代が旧来のものを破壊し尽くした。

 住宅地とするべき場所にあった封印のほとんどが消えた。

 残ってるのは林や山の中にあったものくらい。

 あるいは、邪魔にならないからと町中に残ったものだけ。

 それだけなら、少年一人だけでも十分に対処出来た。



 そうして一週間。

 全ての封印を除ける事ができた。

 折しも、夏祭りの最中。

 賑やかな中でソレは復活した。



 寺社のない町である。

 新しい町らしく、古くからのこういったものはない。

 なので祭りといっても、運動場も兼ねた広い公園で行われる。

 その公園に集まった町の者達。

 それらを目に見えない何かが覆っていく。

 名付けるなら、霊気とでもなるだろうか。



 明るいわけでも暗いわけでもない。

 色のついてない透明なナニか。

 気力とでもいうべきもの。

 生命がもつエネルギー。

 霊気とはそういうものだ。



 それを放つ存在が動きだす。

 少年に接触し、動きを封じる仕掛けを解除して。

 自由を取り戻したそれは、己から吹き出す霊気を周囲にひろげていった。



 それは多くの者達に気付かれる事なく静かにしっかりと人々を覆っていった。

 勘の鋭い者は何かが起こってる事に気付いたが。

 それで何ができるわけでもない。

 自分を多う透明な霊気にとらわれ、霊魂を吸収されていく。



 祭りに出向いていて無かった者達も同様だ。

 町全体を覆う霊気は、家にいた者達も捕らえていった。

 その中で多くの者達が霊魂を奪われていく。

 生き残れた者は多くはなかった。



「ひっ! ひっ! ひっ!」

 直観的にナニかを察した者もいる。

 そういった者は怖気をおぼえるナニかから逃げようとする。

 だが、遅い。

 そういった者達は霊気の存在には気づけた。

 だが、それは周囲を覆われてからだ。

 逃げ道が無くなってから走り出して何になる?

 無駄なあがきをしながら死んでいくだけだ。



 町は一晩にして死に絶えた。

 祭りの明かり、街灯の光り。

 家の中の電灯。

 これらに照らされた死体がそこかしこに転がるだけ。

 外傷の一切無い死体の数々。

 それらを見て、捜査にやってきた警察は首をかしげる事になる。

「どうやってやったんだ?」

 答えが得られるはずもない。

 科学では解明できない方法によるのだから。

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【よぎそーとのネグラ 】

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