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➖第一話・奴隷騎士➖ ⑤

翌朝エルザが目を覚ますと不思議と自分でも昨日までとは違う雰囲気を纏っているような気がした。

それはまるで憑き物が落ちたように心が晴れ身体が軽かったのだ。

不思議な事もあるものだと金色の長い髪を掻き上げると、そこで初めて焼け落ちたはずの金髪と潰れて見えていなかった目が見えている事に気が付いた!そして自身の身体の無数の傷痕も跡形も無く無くなっていて少女らしい柔肌がそこには蘇っていた。

そしてベッドから降りて見ると曲がっていた脚も元通りになっていた事に驚き、いったい何が起きているのだろうと再び記憶を整理すると、幾つか戦争の記憶は霧がかかったように曖昧で思い出すことが出来なかったが、それから敗戦し戦争捕虜として奴隷になった…そして…自分の横で小さく丸くなって寝ている10歳の少年に買われたのだ…少年は治療するから眠るように…そう言って…エルザの目から大粒の涙が止めどなく溢れ出た。

なぜ?自分はこんなにも優しくして貰えるのか?私は拷問をされ、地獄の苦しみの中に殺されたはずなのに……この少年は命の恩人であり主だ。

もしこれが夢で覚めてしまったら再び地獄へ落とされるのではないか?そう考えたエルザは自らの頬を抓ると強烈な痛みが襲って来た為、思わず悲鳴をあげてしまうと、その悲鳴に目を覚ましたユウキが心配そうに声をかけてくる。

しかしエルザにはその声がまるで神からの救いの声に聞こえ、そのまま跪くと泣きながら感謝の言葉を述べた。


「ありがとうございます!ご主人さま、エルザは貴方様の為に一生働きます!」


「ふぁっ!?おはようエルザさん!?ちょ、そんなに抱きしめられたら苦しいよ、そ、それに服を着てよ」


エルザの柔らかい胸に顔を埋め抱きしめられていたユウキはようやく声を出すことが出来、エルザが裸のまま抱きついている事に驚きつつも何とか離れてもらえるよう懇願すると涙を拭いながら微笑んだ。


「ゴメンなさいご主人さま、私ったら……つい……嬉しくて……」


「身体に異常は無い?ああ鏡が無いから確認出来ないけど潰れていた目の方が赤く変わっちゃっているね…他は…」


エルザの目は左右で色が違っていて右目が青で左目が赤、本来持っていた美貌もあり、どこか神秘性が増しているようだった。

それよりも……

ユウキがエルザの身体をチェックする為に、その身体に触れると肉の柔らかさと女性特有の甘い香りが強くった気がする。

そして自然と乳首がツンと硬くなり子宮が熱くなり、やがて二人の唇がゆっくりと近付いて…


ドンドンッ!!

「お客さーん!チェックアウトの時間だよ!」


無情な宿主の声に咄嗟に飛び跳ねるように離れたケイゴとエルザだったが、宿主はそんな二人の行動には目もくれずに宿代の支払いを急かして追い出されるように宿屋を後にした。


……


宿主の迫力に負けて慌てて支払いを済ませたユウキ達は取り敢えず昨晩遅かったので今日はエルザの生活必要品を買いに市場に行く事を決めていた。

宿屋から出て市場へと向かったケイゴ達は道の両脇にズラリと並ぶ露店にそれぞれ購入しては大荷物になりつつも良さそうな物の値段を確かめながら一店、また一店と見て回り、エルザの服や下着、靴、日用品を一通り揃える頃には既に昼近くになっていた。


「あとは装備だけどエルザは騎士だったから前衛用の装備で良いのかな?」


「そうですね、私は盾を武器とするスタイルが得意でしたから……それと戦槌が良いのですが…馬上ならともかく、この格好では歩きにくいです、ですので、なるべく軽い装備が宜しいかと……」


「それなら……このチェインメイスとバックラー、それに皮の鎧かな?」


ユウキは武器屋の主人にエルザが希望する装備を伝え、それらを見繕って貰うが泥臭い冒険者の装備よりエルザなら戦乙女のような煌びやかな装備の方が映える気がしたが今は我慢する事にした。


「それじゃあ装備も手に入れたしエルザの実力を知りたいから今日は東の大樹海で魔物狩りをしようか」


「はい!ご主人様!」


ユウキはエルザの満面の笑みを見て、改めてこの世界に来て良かったと心が満たされるのを感じて、少し照れ笑いを浮かべながらエルザと二人、東の大樹海へと向かった。

挿絵(By みてみん)

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