➖第一話・奴隷騎士➖ ⓷
➖第一話・奴隷騎士➖ ⓷
ユウキは冒険者ギルドから出ると、そのままの足で街の外へと出ると街の北側山脈地帯麓にある迷宮の入り口を目指し歩き始めるのだが、その途中小さな少年が一人で魔物が多く生息する山脈地帯に向かって歩いているので心配した大人が何人も声をかけてきて、そのたびに大丈夫だとと説明するのも面倒になったので飛行魔術で一気に迷宮まで向かう事にした。
「さて……と、この辺りに迷宮の入り口があるらしいけど……どこにあるんだろう?」
ユウキは山脈の麓に降り立つと探知魔法で迷宮の場所を探りながら周囲を散策していた。
すると人の気配が全く感じられない岩山の一つから魔力の流れを感じて、その付近を調べて見ると大きな岩山が不自然に連なっている事に気付き、その内の一つを目印として注意深く見ると、どうやらその先に大きな洞窟の入り口が見えてきた。
ユウキは躊躇わず洞窟の中に入ると中は大きな空洞となっていて天井までの高さは20メートル近く有り、奥行きもかなり有りそうでダンジョン特有の土壁で囲まれているが、ところどころに鉱石も有ってそれが周囲を照らしていて辺りをキラキラと光り輝いて照らしていた。
ユウキはダンジョンの中を歩いて行くと奥から何やら音が聞こえてくるので、その方向へと向かって慎重に歩いて行った。
するとそこには大きな蛇がとぐろを巻いて眠っていたのだが、侵入者を察知したのか突然目を覚ましたかと思うとユウキに向かって襲いかかって来たのだ。
「うわッ!ビックリした!」
ユウキはその巨体に驚きながらも咄嗟に避ける事に成功し距離を取るが、どうやらこの巨大な蛇は完全にこちらを敵と認識しているようで追いかけて来た。
「まぁこうなるよね、それでもスキルの練習には丁度良いか……」
そんな事を独り言のように呟きながら襲いかかってくる巨大蛇と対峙するのだった。
………
「はぁ〜失敗したなぁ〜」
大きな溜息を付きながらユウキはさまざまな魔物と戦い、希少な鉱石を拾いながら武器や防具を作ろうかと夢見ていたのだが喧嘩もろくにしたことの無い平和な国からやってきたユウキには武具による接近戦は合わず、結局察知した敵に魔法弾をシューティングゲームのように連続で撃ち込む戦い方が合っていた為、希少な鉱石も何も使い道はなかった。
それで鉱石が多く手に入るこの迷宮を早々に後にするのだった。