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3. 小説家になる夢をあきらめるべきか

○相談者 34歳 女性

Q.

 小説家になる夢を諦めようか悩んでいます。

 私は小説家になることを人生の目標に掲げ生きてきました。小説を書き始めたのは22歳、社会人になりたての頃です。毎日仕事を終えてからは本を読み、小説のプロットを練り、休日には一日中パソコンと向かい合う日々を過ごしてきました。

 何度も新人賞に応募しては落選し、それでも諦めずに書き続けてきました。

 その生活も12年になります。

 親からは結婚をせかされるようになりました。振り返ってみると、執筆を理由に人との縁を絶ってきた気もします。ぼんやりと結婚願望はありましたが、自ら婚期を逃していたように思えます。

 もう私も34になります。12年かけても結果がでなかったのだから私には才能が無かったのでしょう。おばさんになってまで良い小説が書けるとは思えません。いまからでも小説をきっぱりやめて、家庭を築くなど、新たな人生の目標をみつけるべきでしょうか?


A.

 働きながら小説を書き続けることは大変な労力であるとお察しします。それを長年続けてきたあなたの努力はご立派です。

 さて、小説家を目指すことを諦めるべきかという問題は、あなた自身にしか答えは出せません。ご自身で決めてください。

 ……しかしそれでは何の解決にもなりませんので、ある学説をご紹介したいと思います。

 人間の知能は二つあります。一つは流動性知能です。これは瞬間的にルールを教わり、そのルールを覚えて早く適応していく、いわば知能テストのようなものです。これは18歳~25歳でピークを迎え、次第に衰えていきます。

 もう一つは結晶性知能です。経験によって脳の意味空間が密になっていく現象を指します。簡単に言うと年の功です。特定の個人で比べても若いときより現在のほうが知識の量も実体験も多く、創作には有利といえるでしょう。とくに言語能力はその傾向が強く、語彙力のピークは67歳とされています。

 あなたは年齢を気にされているようですが、衰えを気にすることはありません。

 あなたの努力は着実に蓄積されています。わたしは文芸に関しては門外漢ですが、小説とは書けば書くほど良くなっていくものだと信じています。

 作家のデビューした年齢を調べてみると、意外なほど高齢でデビューした人の多さに気づくと思います。松本清張は42歳、百田尚樹は50歳、加藤廣は75歳でデビューしています。


 幸福もさまざまな形態があります。家庭の幸福や仕事の幸福、レジャーの幸福を捨てずとも、執筆は続けられるのではないでしょうか。


 最後に付け加えます。

 努力は裏切りません。ただし、「長い目で見ると」という一言が裏に潜んでいることを我々は知っておかなければなりません。

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