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おとぎばなし ― みつるとき ―  作者: ぽすしち
 Ⅱ

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8/48

砂糖粒


「――― ほお、無作法な?」

 コウセンが試すように聞き返す。


 この頃では、きっちりと髪を後ろで結い、髭も手を入れているコウセンに、このような聞き方をされれば、シャムショの者でさえ気おくれするだろうに、シュンカは堂々と口にした。


「はい。 おれはあの有名な《絵師のセイテツさま》と一緒にいるから、描いてほしければ頼んでやってもよいと、名前をききだそうといたしました」


「・・・おまえらしくないな」


「なにしろ『街』に住むおなごですので、普通に名前をきこうといたしましても、鼻であしらうような態度をとられます。おれも男として腹が立ちました」


「ふうん、そうか」


「はい。『街』にゆくと、なにやら甘く見られてはならないと、つい、見栄を張った態度をとりたくなります」


「――― シュンカ」


「はい?」



 向かい合い、困ったように微笑む子を、コウセンはいつものように軽く抱き、背を叩く。



「こんどから、―― 誰と街にゆこうとも、笠をかぶってゆけ」


「はい。・・・コウセンさま・・・ご心配おかけして、すみません・・・」


 額をコウセンの胸に押し付け謝る。


 それを気分よく受け取った男は右腕をすいと持ち上げ、そばに立っていたセイテツへ何かをはじいた。


「っっってええ!!!」


 額をおさえこむ絵師に四の宮の大臣でもある男が言った。



「―― おれが今、菓子しか持ってなくて助かったなあ?テツよお」


 絵師の足元に落ちていたのは、シュンカがいつもコウセンからもらう、砂糖粒の菓子だった。





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