いっしょにするな
「セイテツは雌にしか発情せんだろ」
「赤子でもないのに雌の乳が好きだろ」
阿吽の言葉に救われたように、セイテツは気をとりなおす。
「それのどこがわるい。おれは女にしか興味ねえし、それなりに愛情をもって女とあそんでるつもりだ。いま流行ってる《チゴ遊び》をしてるやつらといっしょにすんなよ。 ありゃ女を禁じられた坊主どもが始めたもんで、おれが知る限りじゃ女で遊ぶ男よりも、たちのわるい遊び方しやがる。 何度か誘われたことはあるが、おれはあんなふうにはなりたくねえよ」
だから、常々、茶屋で遊ぶ女にも言ってあるのだ。
自分はチゴで遊ぶ男や女と一緒になる気はねえから、おれをそっちにさそうなよ、と。
《チゴ遊び》をするのは、今では金のある人間の、《しゃれ》のひとつに思われ、いままでは茶屋で女を相手に遊んでいたような連中も、平気でながれはじめた。
茶屋と同じように、奉公できる歳がきめられたはずのそこに、このごろでは幼い男児が奉公し、客が望めば相手をするという噂もある。
元々坊主や金持ち、あるいは各軍隊の位のある者たちがかくれるように通っていた場所だ。
茶屋のように決まりがあるとはいえ、きびしい監視がある場所ではなく、見まわりがはいったこともない。
いまでは《チゴ》という呼び名を《ヤッコ》に変えて堂々と商売するところもあるときいた。
シュンカはみかけがきれいな男にはいるため、チゴになれなどとひどい言葉をむかし投げられたことがある。
しかも、言葉を投げた相手は、『この世』にはいない。
――― それを、自分のせいだと思ってなければいいのだが・・・
どうにも優しすぎる子が、ときどき心配になる。