『好き』が同じか
これより先 おわりまで、かゆくなるほど甘い場面です。
苦手な方はご注意ください。
ドアをたたいて入れば、坊主はいつものようにベッドに胡坐をかいて書物を手にしている。
ヒョウセツが置いて行ったものと、もう一冊を渡す。
「これは、おれがお借りしてたのです」
礼を言って返せば、なんだもう読み終えたのか?とあきれたように言われる。
それは高山にある経の写しだった。
「いえ、とても覚えきれそうもないので、また間をおいてからお借りします」
「おぼえる?―― まあ、役立つだろうからかまわねえが」
こりゃ高山で修業する坊主だって難儀する経だぜ、と教えられる。
「スザクさまのお役にたてるのでしたら、覚えます」
素直に答えるその嬉しそうな顔を見る坊主は、口をまげた。
「―― シュンカ、聞きてえことがある」
「はい、なんでしょう?」
「おまえ、・・・今日、おれに言ったこと、覚えてるか?」
見合った顔が一気に染まり、うなずくのに坊主が手招きする。
からから からから
書物を横に置いた坊主が、前に立ったシュンカの手を取った。
「もしかしたら、何か間違えてんじゃねえかと思ってな」
「え?」
ぐい、と手を引かれ、ベッドにのりあげた。
すぐそこにある坊主の顔が、いつもの無表情で見下ろす。
からから からから
「おれの『好き』と、おめえの『好き』が違ったら、コウセンにぶんなぐられるだけだからよ」
「は?」
からから からから




