きもち伝われ
あ、とふいにシュンカは思い出す。
「そういえば、ヒョウセツさまがスザクさまに借りた本だとおもうのですが、間違えておれの部屋に置いてありました」
あとでお持ちしますね、と食器を片付けはじめるシュンカに、何か言いたそうだった坊主は何も言わずに部屋へとひきあげた。
いつもと同じ仕事をする。
シュンカは台所を片づけ、明日の準備をし、風呂を沸かした。
お茶を運んだセイテツの部屋から反応がない。
のぞけば、そのまま床に大の字になりいびきをかいている。毛布をかけ、そっと出た。
部屋にもどり、書物を取り上げる。
からからから
「あ、また、まわった」
人が動くだけの風でまわるなんて、なんてよくできているのかと感心する。
その風車にそっと息をかけ、部屋を出た。
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からから からから
このきもち、 あのひとに、
伝われ、 伝われ
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これよりあとは、ただただ 甘い場面となります。




