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おとぎばなし ― みつるとき ―  作者: ぽすしち


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波は女の顔になる


 堀の水がそれに苦しむようにのたうち波をたてる。



 と、その波が、みるまにかたちを成し、女人にょにんの顔で声をあげはじめた。

 



  

  あのひ とに アノ  男は すぐに  約束を  どうかどうか  あきらめきれぬ 

      ああくやし  どうか  あかごを   ころして  やる  まって

  わすれぬわすれぬ  こうも   すぐに呼んで  まてまてまて  あのおかた  

    まてど  くらせど  わすれたか  もどれもどれ はやく  まもって 

 



  恨むような泣きすがるような声をあげる波が、堀の中からあふれ出す。

 


 先にふみだした男衆がそれに飲まれ堀へ落ちるとと、ばしゃばしゃと本物の白い波が泡立った。


「くってる・・・」

 のぞきこんだ男たちが顔色をなくす。


 堀の中、黒い背びれをみせる小さな魚の群れが、まだ悲鳴をあげる人間にあつまり、肉を食いちぎっていた。




 スザクはいっそう腕をふり、経をつづる。


 それをながめ、シュンカも一心に経を唱えた。

 つづることも真似ぐらいはできるが、それがいま、通用するとも思えない。


 経をとなえるかぎり、シュンカにも堀の水はこない。

 

 野次馬たちは若い衆が抑え込んでいる。




  ところがそのとき、するりと一人の女が躍り出た。




   「 このクソボウズ!『主様ぬしさま』になんてことしやがんだい! 」





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