赤い粉をさがす
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おかしいなあ、と身を乗り出して堀をのぞきこむシュンカを堀端に座って眺める坊主は、そばにいる釣り人のビクの中を見た。
「前から思ってたんだがよ、こんなとこで魚が釣れんのかよ?」
この辺りの店の者だろう年寄が、たまに釣れるさ、と竿をあげた。
「 ところがよ、ここひと月ほどは、まったくだめだ」
空のビクをあげ、今日はひきあげるかと腰をあげ、堀をみわたす。
「 ・・・さっきからあの若い人は、何をさがしてるんだい?」
堀をのぞきこみ、うろうろするシュンカを指してきく。
「ああ、ちょっと、落し物をしてな」
さっきの店はもちろん、おランのところにも落ちていなかったし、通った道にも見当たらなかったその包みを探し、最後にこの大堀まで来たのだ。
色街を流れる川の水はこの堀に流れ込んでいる。一縷ののぞみにかけて水をのぞくが、こんな暗い緑色じゃあ、底まではとても見えない。
「大事なものかい? 金目のものなら拾われてるだろう」
「いや、だれにでも大事ってもんじゃねえなあ。なにしろ絵を描くのに必要な、粉だからよ」
こな?と年寄が止まる。




